嫌よ嫌よも好きのうち《 Shoma.Uno 》 (ページ27)

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貴方.

『無理ー！！』

「初めから跳べる人なんていないわよ。ちょっと休みなさい」

『はーい……』

冷たい氷の上にごろんと寝転がる。何回目だろうか、こうして氷に身体が打ち付けられるのは……
派手に転倒しまくっているから、足に負担はかからないし、痛さも少ない。恥なんてものもとっくの昔に捨てているから、心配ない。

ふうっ、と息を吐いて起き上がろうとすると、ライトのせいで眩しかった視界が暗くなる。

『……昌磨！』

「4回転フリップ？」

『うん……どうせ無理とか言うんでしょ』

真上から私を覗き込んでいた昌磨を避けつつ起き上がり、氷の上に座る。「諦めろ」だの「Aにはまだ早い」なんて言われる覚悟は出来ていたから、無駄に突っかからずに終わらせようとした。

すると、昌磨は目を丸くして、そしてすぐに笑う。

「何でだよ。あとちょっとじゃん」

『え……？』

「軸がブレなければ跳べるよ。それと両足着氷に気を付けて。後は右足が滑っていかないようにね、」

『ま、待って、ちゃんと聞くから教えて！アドバイスちょうだい！』

慌てて起き上がり昌磨の横に立つと、珍しく優しい昌磨が、4回転フリップのコツを教えてくれる。