嫌よ嫌よも好きのうち《 Shoma.Uno 》 (ページ14)

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貴方.

『ねえほんと私の邪魔しないで！』

「Aがぶつかってきてるだけだろ」

『はあ？私には私の道があって……』

本当に、良い意味でも悪い意味でも、私たちのオンオフはハッキリしている。この前支え合ったのが嘘みたいに、仲の悪いときは全力で喧嘩するし……

そんな私たちの喧嘩はスケート選手の中で最早恒例なので、何人かは笑いながら見守っている始末だ。
今の喧嘩は、私が滑っていると昌磨が尽く目の前に滑り出てくる、ということが発端で始まったもの。だって本当に邪魔してくるんだもん……

『……そんなに私のこと好き？』

「は？とうとう頭やられたの？」

『違うわ』

「熱でもあるのかな～」

『違うって、やめ、』

そう言って額に昌磨の手が触れる。あれ、案外大きい……なぜかドキッとする。
ぐぐぐ、と熱を計るふりをして私の額を押す昌磨に抵抗しようと顔を上げると、目が合う。ぼふっと音を立てて赤くなる私の顔を見て、昌磨が顔を顰めた。

「……ほんとに熱あるんじゃない？大丈夫？」

『だ、大丈夫だから……あっち行って』

「ふうん、」

若干疑いながらも大人しくすいーっと滑っていく昌磨の背中を見送ってから、その場にへたり込む。

……ん？何だこれ。