嫌よ嫌よも好きのうち《 Shoma.Uno 》 (ページ12)

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貴方.

『化け物だわ、本当に……』

結局、あの後は私の方が先に寝てしまったらしく……眠りに落ちるギリギリのところで「おやすみ」と昌磨の声が聞こえた気がした。それにホッとしてその日はグッスリ快眠だった。

そこから時間も経って、私は自宅で昌磨のフリーを見終わった。最近は滅多に見ることがなくなった昌磨の涙は、苦しそうで。

それでも何とか銀メダルを掴み取り、5位に入賞した一希と合わせて三枠を死守した。凄い。それだけで私は鳥肌が立ったし、何やかんや私のライバルは凄いんだぞ、と誇らしくなった。

「昌磨くん、苦しそうね」

『まあ……想定外の怪我だったしね。精神的にも辛かったと思うよ』

「あら。Aが昌磨くんのこと庇うなんて」

『こればっかりは同じ選手としてね』

インタビューで怪我のことを聞かれても「それは関係ない」と言い訳すらしないし、アイツはどこまでも出来た人だなあと悔しくも思い知らされる。まあ……昌磨がしっかりしているのは、昔から知っているけど。

『あ、そうだ。満知子先生が出迎えに行こうって言ってたから、今度行ってくるね』

「そう。パパラッチには気を付けるのよ」

『今更すぎるわ』