嫌よ嫌よも好きのうち《 Shoma.Uno 》 (ページ1)

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貴方.

『昌磨、邪魔！！』

「うるっさいなあ……先にいたのは俺なんだけど」

『レディーファーストって言葉知らないの？』

「あれ？レディーなんてどこにいるのかなあ」

『このチビ！』

「俺より小さいくせによく言いますね～」

そう言ってにやりと意地悪な笑みを浮かべて私の頭を肘置きにするのは、平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨。私より二歳年上なはずだけど……どう見ても年上には見えない。私より圧倒的に子供っぽい。

何を隠そう、私だってオリンピアンなのだ。メダルにはあと一歩届かず表彰台を逃したけど、それでもよくやったと称えられた。悔しいけど、次のオリンピックで金メダルを目指そうと思っている。

『あーもう、信じらんない。こんな意地悪なチビが先輩なんて！ゆづくんの方が何倍も優しいのに』

「へえ、そんなに言うならトロントまで行けば？」

『行けるもんなら行ってるわよ！バカ昌磨！』

「仮にも年上にそれ言う？頭悪いの？」

『昌磨よりはマシ！』

べえ、と舌を出すと、ぴんっと額を弾かれる。あまりの痛さにリンクに手をつく私を見て、昌磨はけらけらと笑った。手加減しろよコイツ……