押してダメなら押し続けろ II《 Shoma.Uno 》

85. ページ35

昌磨.



「A可愛い！！」

「写真撮ってもいい？！」




Aちゃんの人気具合は半端なくて、真央ちゃんや佳菜ちゃんの写真を撮る手が止まらない。
終いには、あのさっとんまでもが無言で連写していて……怖いよ、中々。「後で送るね」なんて言われてしまった……

確かに可愛いと思う。リンクに寝転がって頬杖をつき、左右に揺れる。笑ったり、頰を膨らませて腕を組んでみたり。彼女の表情のレパートリーは恐ろしい。

最後は胸の前で両手を絡めて祈るようなポーズをして、客席にウィンク。ここにいたほとんどの人がノックアウトされただろう。




「A可愛すぎ！」

「今までのと違うね！」

『アイスショー用に新しくしたんです！ありがとうございます！』




あっという間に皆に囲まれてしまったAちゃん。色々とあったから話しかけるのを躊躇うけど、遠目から見ているだけでまあいいか。

Aちゃんの後は自分だからジャージを脱いで準備をすると、そんな俺に気付いた真央ちゃんが何か思い付いたのか、「ねえ！」と声を発した。




「昌磨の衣装、王子様みたいだからさ、Aのことエスコートしてあげたら？」

「えっ、」

『えっ！！』

「いいじゃん、やろうよ〜！Aが終わった後にリンクに入って、軽くダンスしてからリンクサイドまで連れて行こう！」




真央ちゃんの言うことは絶対、そんな風に思っている俺たちからすると、これも絶対にやるんだろうな、と覚悟を決めた。

Aちゃんは緊張しているのかガチガチだし、どうなるんだろうか……

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