押してダメなら押し続けろ II《 Shoma.Uno 》

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貴方.



男子ショート当日。リンクサイドに入れるのは美穂子先生だけだから、私はバックヤードに待機していることになった。今日ばかりは緊張も頂点に達しているし、昌磨くんのことしか考えられない。

ドキドキしながら関係者の方に紛れて昌磨くんを待つと、たくさんの選手の後ろから彼が現れた。




『昌磨くん！！』




そう呼ぶと、昌磨くんは俯いていた顔を上げて、私の方を見た。やっぱりかっこいい。大好きだ。
今にもそれを伝えたくなる気持ちを抑えて、とりあえず応援だけでも、と彼に近付いた。




『不安だと思うけど、私ちゃんと見てるから、昌磨くんらしく……っ！』




最後まで伝える前に遮られた。ふわっと昌磨くんの匂いに包まれる。優しくて安心する香り。
私の頭をぽんぽんと撫でるようにして、自分が今一番不安なはずなのに、私のことを安心させようとしてくれる。




「……うん。ありがとう。Aちゃんが見てるなら多分平気だよ、」

『う、うん……！』

「いっつも応援してくれて、好きって言って安心させてくれて、ありがとう。」




そう言った昌磨くんの声が優しすぎて、私が泣きそうになる。ダメだ。泣くのはまだ早い。ぐっと堪えて昌磨くんの顔を見据えると、我慢していたはずのそれを伝えるしかないと思って口に出す。




『大好き！』




今までにないくらいの笑顔で、「ありがとう」とリンクに向かった。

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