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貴方.
「おう、A。」
『蔵之介さん、』
「どう？上手くいってる？」
隣に座って、私の手元を観察する蔵之介さん。
男の人だと分かってから妙に意識してしまうし、距離が近いと緊張する。蔵之介さんはきっと気遣ってくれているんだろうけど、距離が遠いとそれはそれで悩む。
『……あ、あの。やりにくいです、』
「ああ、ごめんごめん。いやあ、綺麗だと思ってさ」
『綺麗？』
「手が」と言って私の手に触れた蔵之介さん。
思っていたよりも大きくて骨ばった手は、男の人らしくて、女の私とは全然違っている。
どきり、と心臓が跳ねた。黙りこくる私を見て、蔵之介さんは「ごめん」と慌てて手を離す。
『あ、いえ、そんな、触られるだけで怖がったりはしません。蔵之介さんですし、』
「……それでも、何となく罪悪感があって。一応騙してたわけだから」
『ふふ、そうですか。反省はしてるんですね？』
「もちろん」
からかうように笑いかけると、蔵之介さんも同じように笑った。良かった、いつもと変わらない。
私が男の人が苦手ということで、やっとできたお友達と仲が悪くなるのは嫌だったから。
「そうだ。それだと見えづらくて怪我するだろ」
『え？』
「一時的にだから我慢しろよ」
蔵之介さんはそう言って私の前髪をピンで留めてしまった。確かにこの方が作業はしやすいかもしれない。外に出なければこれでもいいか。
「それは俺からのささやかなプレゼントってことで。お詫びの品ね、」
『へ？』
「じゃ、再開するか」
何のことだろう、そう思ってクララの水槽を鏡代わりに覗き込むと、私の額には、可愛らしいバレッタが留められていた。
ただのピンじゃなくて、きちんと選んでくれたんだろうなあ、と思えるようなもの。
『……ふふっ、』
何だか今、凄く幸せだ。
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羽衣石 紫(プロフ) - 海月姫終わっちゃいましたけど、この作品本当に大好きで、私にも勇気を与えてくれたような気がするんです(笑) 更新、お忙しいかもしれませんが、頑張ってください!! 応援してます！ (2018年4月18日 13時) (
レス) id: 913f89f30c (このIDを非表示/違反報告)
ミュウ猫(プロフ) - 更新楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2018年3月23日 17時) (レス) id: cb3c31f143 (このIDを非表示/違反報告)
こもすうぇ - めっちゃ面白いです！更新待ってます！ (2018年3月19日 23時) (レス) id: 498e63b1f1 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - とっても素敵な作品ですね ！ 楽しみにしてます ！！ (2018年3月13日 11時) (レス) id: ea2710a33f (このIDを非表示/違反報告)
名無し36317号(プロフ) - すっごく面白いです！続き楽しみにしてます！ (2018年3月8日 0時) (レス) id: d499def40c (このIDを非表示/違反報告)
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