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貴方.



「もったいないなあ、」


『え、?』


「月海、予定変更だ。Aも連れて俺の家に向かう」






蔵子さんはそう言うと、

私の手を引いて
「行くぞ」と歩き出してしまった。


何が何だか分からないまま、

私は蔵子さんのペースに飲まれてしまう。






『あの、今から何をするんですか……?』


「俺の部屋にある新作たちをいくらでも眺めさせてやる、だから着てみてくれないか?」


『何をですか……?』


「俺のお気に入りのドレスをな、」






さっきから「俺」って言ってるけど、

蔵子さんって結構男勝りな人なんだなあ。


鯉淵、と彫られた表札と大きな門の向こうには、
天水館とは比べ物にならないくらいの大きな建物があって

それが蔵子さんのお家であることは容易く理解できた。






『実家がお金持ちだからそんなに素敵なお洋服を着ていらっしゃるんですね……なるほど、』


「まあな。さあ、このワンピースに着替えてくれ。

俺はメイクの準備をするから、」


『っうえ、ちょ、!』






突然部屋に閉じ込められ、

残ったのは
綺麗なワンピースだけ。


……ん?これって、






『今最も注目されてるブランドの新作冬物ワンピース?!ええ?!こんなの着ていいんですか?!』


「お前にしか似合わないと思ったんだよ!ほら早く!」


『っは、はい!』


「Aちゃん、どうかご無事で……!」






真っ白でどことなく淡い水色が滲む冬らしいそれは、

私なんかが着ていいものには見えなかったけど
そこまで言われると着るしかなくて……


私を応援してくれる月海ちゃんの声を背中に、

意を決してワンピースに身を包んだ。

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羽衣石 紫(プロフ) - 海月姫終わっちゃいましたけど、この作品本当に大好きで、私にも勇気を与えてくれたような気がするんです(笑) 更新、お忙しいかもしれませんが、頑張ってください!! 応援してます! (2018年4月18日 13時) (レス) id: 913f89f30c (このIDを非表示/違反報告)
ミュウ猫(プロフ) - 更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (2018年3月23日 17時) (レス) id: cb3c31f143 (このIDを非表示/違反報告)
こもすうぇ - めっちゃ面白いです!更新待ってます! (2018年3月19日 23時) (レス) id: 498e63b1f1 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - とっても素敵な作品ですね ! 楽しみにしてます !! (2018年3月13日 11時) (レス) id: ea2710a33f (このIDを非表示/違反報告)
名無し36317号(プロフ) - すっごく面白いです!続き楽しみにしてます! (2018年3月8日 0時) (レス) id: d499def40c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星原 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年2月14日 23時

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