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14. ページ14

蔵之介.



「……遅いな、」






マスコットが減るにつれ

客足も引いてきたのに、
肝心のAが帰ってこない。


道に迷うようなタイプじゃないし、

これは流石におかしいんじゃないか。






「すみません、やっぱり私が着いていけば……」


「いや、しょうがないよ。

俺見てくるから、もし客が来たら皆で頑張ってね」


「は、はい……!」






Aが向かった方向に走ると、

思っていたより人気が少ない場所にたどり着く。


……嫌な予感って、
当たりやすいもんだから。






『……や、やめてください、』


「、!いた!!」


『蔵子さん!』






男に手を掴まれているAは、

顔面蒼白だった。


俺がそばにいたら、
こんなことにはならなかったのに。

元々外に出るのが苦手なAを連れ出したばっかりに……



Aを守れなかった自分に苛立ちながらも、

男たちから引き剥がすように抱き寄せる。


俺を見上げるAの瞳はこの前とは比にならないくらい涙が溜まっていて、

強く抱き締めたくなる衝動を抑えた。






「また可愛い子きたじゃん、今日当たりじゃね?」


「二人一緒に遊ぼうよ」


「……せえな、」


「ん?」


「うるせえって言ってるんだよ、

人の大切なもんに手出すな」






地声で話すと、

男たちはすっかりビビって
「クソ!」と言い残して逃げて行った。






「っ、ごめん!!

俺がこんなところに連れてきたせいで、あんな男に絡まれて……本当にごめん」


『そんな、気にしないでください、!!

こうやって助けに来てくれたじゃないですか』


「でも……」






強がるAの涙を拭うと、

「ごめんなさい」なんてまた微笑んで。


……謝るのは俺だろ。






『蔵子さんがこうして外の世界を教えてくれたから、今、凄く楽しいです。

怖いときも蔵子さんが助けてくれるって信じてるので、大丈夫です!』


「A……

ごめん。もう少しだけこうさせて?」


『わっ……!』






さっきの男たちの存在を忘れさせるために、

ぎゅっと強く抱き締めると
Aは小さく笑って腕を回してくれた。


女同士としてのハグだけど、

俺はちゃんと意識してるから。



いつか、真剣に向き合わせてほしい……なんて。

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羽衣石 紫(プロフ) - 海月姫終わっちゃいましたけど、この作品本当に大好きで、私にも勇気を与えてくれたような気がするんです(笑) 更新、お忙しいかもしれませんが、頑張ってください!! 応援してます! (2018年4月18日 13時) (レス) id: 913f89f30c (このIDを非表示/違反報告)
ミュウ猫(プロフ) - 更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (2018年3月23日 17時) (レス) id: cb3c31f143 (このIDを非表示/違反報告)
こもすうぇ - めっちゃ面白いです!更新待ってます! (2018年3月19日 23時) (レス) id: 498e63b1f1 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - とっても素敵な作品ですね ! 楽しみにしてます !! (2018年3月13日 11時) (レス) id: ea2710a33f (このIDを非表示/違反報告)
名無し36317号(プロフ) - すっごく面白いです!続き楽しみにしてます! (2018年3月8日 0時) (レス) id: d499def40c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星原 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年2月14日 23時

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