ファッションオタク【 海月姫 】

12. ページ12

蔵子.



『中々売れませんね……』


「んー……」






各々の趣味に関連したものばかり並べてあるからか、

一般の人の目を引けそうにない。


フリーマーケットに参加した俺たちは、
早速絶望を感じていた。

水道があのままなのはマズいだろ。生活していく上で。






「と言うか、A。最近オシャレな格好をするようになったのね。素敵よ、」


『千絵子さん、ありがとう！

蔵子さんがメイクしてくれるようになって、着やすくなったの。』


「ぬおー！！A殿は洋装オタク故、オシャレ人間のような恐ろしさはないですな！」


「ああ。A、よく似合ってるぞ」


「可愛いです……」


『まややちゃん、ばんばちゃん、ジジ様！ありがとう！』





Aは天水館の住人に愛されてるんだろうなあって、心底思う。

じゃなきゃ、こんなに大切にされてない。


ぼんやりとAを見つめていると

そんな俺に気付いたのか、ふわりと微笑んだ。



……その笑顔、反則じゃない？






『何か売れたらいいですね、蔵子さん』


「そうだなあ……」


「あの……すいません、そのマスコット、おいくらですか？」


「『え？！』」






そう聞いてくれた親子を見て、

Aと顔を見合わせる。


小さな子が指差すのは、
月海が作ったであろうクラゲのマスコット。

これは……いけるんじゃないか？

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