ファッションオタク【 海月姫 】

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貴方.



『うーん……ここの新作とこっちの新作は今季一番の出来だなあ。素敵。

早くお部屋に飾りたいんだけど……』






机の上に山のように置かれたファッション雑誌を

ただただゆっくりと読むのが私の日課。


天水館には、
お互いの趣味を邪魔する者はいない。

ただひっそりと静かに、好きなことをしていられる。






「あ、あのっ、Aちゃん、今少しいいですか……？」


『月海ちゃん？いいよ、入ってください』


「失礼します……！」






ごくたまに、

そんな日常が崩れることもあるけれど。


思えばこのときから
私たちの毎日は180度変わって

あのとんでもない未来に向かっていたのかもしれない。



クラゲオタクである月海ちゃんは、

恐る恐る私の部屋のドアを開けると
「申し訳ないのですが」と深刻な表情で私を見た。


そんな月海ちゃんの後ろから、

ひょっこりと頭を出す綺麗な女の人。






『月海ちゃん、その方は……』


「くらの……」


「いや！く、蔵子さんです！

弱っていたクラゲを助けてくださって、そこから知り合ったと言いますか……！」


『そうなんだ！蔵子さん、初めまして。Aです』






尼〜ずの皆が恐る「オシャレ人間」である蔵子さんだけど、

ファッションオタクの私にしたらとても参考になる服装をしている。

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