ファッションオタク【 海月姫 】

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貴方.



「なあ、クラゲのドレスを作ろうって言ったの、覚えてる？」


『もちろん、』






可愛いカフェやオシャレなところにたくさん連れて行ってもらった後は、天水館の近くの公園に落ち着いた。結局、こういうところが一番素敵なんだ。

二人でブランコに腰掛けると、蔵之介さんから話が始まる。






「俺はさ、月海が考えるクラゲのドレスで天水館を救えるなら、凄くいいと思うんだ」


『私も素敵だと思います。』


「そこでだ。普通に服を売るだけじゃ到底売り上げを伸ばせない。」






真剣に語る蔵之介さんによると、どうやらファッションショーを催したいらしい。
確かにどんなブランドでも、最初はファッションショーや展示会などの何かしらの発表の機会を用意している。

もちろんたくさんの人に見てもらうことが、売り上げに繋がるからだ。






「モデルは、もちろん俺もするよ。まややだって向いてると思う。

だけど俺たち二人じゃ足りないんだ。」


『確かに……二人じゃ回せませんよね』






私がそう相槌を打つと、蔵之介さんはブランコから立ち上がって、私の前に立った。






「俺は、Aにもモデルをしてほしいんだ」


『……え、？』


「手当たり次第に誰にでも頼んでるわけじゃない。

Aだから、Aにしかできないから頼んでる。」






これまでにないくらい真剣な表情で私を見つめる蔵之介さんに、即答で断ることもできず、「少し時間をください」と答えるので精一杯だった。

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