ファッションオタク【 海月姫 】

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貴方.



『……よし、』






今までなら絶対に着なかったとっておきの洋服たちを身に纏って、

少しだけ勉強したメイクも施した。


蔵之介さんのおかげで、

戦えるようになったことを伝えたい。



天水館の前に出ようとすると、

そこには見たことのない男性がいた。


……だけど、






『蔵之介さん……？』


「ああ。そうだよ。おはよ、」


『お、おはようございます……』






女装していたときの面影は残っていて、

優しそうな笑顔ですぐに分かった。


男性の姿でもオシャレに手を抜いている様子はなくて、
細身のコートをスタイリッシュに着こなしている。



控えめに横に並ぶと、

蔵之介さんは目を細めて微笑んだ。






「ちゃんと自分で戦闘服に着替えられたんだな」


『それは、デートですから』


「……そっか、俺とのデートでも頑張ってくれるんだね」


『っ、え、あ、いや、深い意味はないというか！！』






焦る私を見て、

「分かってるよ」と笑う。






「ほら、行くぞ」


『わ、ちょ……』






さりげなく車道側を歩こうとする蔵之介さんに、

赤くなった顔を見られないように
ゆっくりと着いていくのが精一杯だった。






「……言い忘れてた！」


『何ですか？』






「すっげえ可愛いよ」

そう言った蔵之介さんのせいで、
熱くなった顔は暫く戻らなかった。

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