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ふたつぶ ページ2

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紫「伽耶ちゃ〜ん!」




午前中の仕事が終わり

昼休憩に入ると平野くんが話しかけてくる。



しかもパソコンと向き合ってる私の

後ろから両肩に手を置いて…。


置く必要性もないし、

あと敬語抜けてないし、ちゃん呼びだし。




『だから。せめて伽耶さんで。』


紫「ほーい。」




出来るだけ落ち着いた声でそういうと

気の無い返事が返ってくる。



恐らくしばらくすれば

ちゃん呼びに戻るでしょう。




紫「じゃ〜…伽耶さん!」


『はい、なんですか?平野くん。』




私の方から手を離して

デスクの横でビシッと敬礼の格好をする。



背筋も伸びていて、

自由な平野くんらしさが出ている。


まっすぐな目に私も背筋が伸びる。




紫「一緒にお昼食べへん?」


『だから敬語…ってお昼!?」




あまりにも急であまりにも自由すぎるお誘いに

目が飛び出るほど驚く。




平野くんといえば若い女の子に囲まれて

キャーキャー言われながら


ご飯食べてるイメージしかないけど?


私とワンツーマンで食べて大丈夫なのかな?




紫「…まぁ…2人やないけど。」




と平野くんは私から目を少しそらして

不機嫌そうに言った。




『2人じゃない?』


紫「廉も一緒。」


『…あ〜。』




それなら納得…できないけど。

呼び捨てはやめなよって言ったのに。


社長も一緒に食堂で弁当食べるって

どうかと思うけど。




紫「あかん?」




私がいらない考え事をしていると



私の目線より下になるように

私の前にしゃがんで

わざとらしく上目遣いでそう言い放った。




…ずるいなぁ…




私が可愛い後輩の頼みを聞かないなんて

出来ないこと知ってるくせに。



…なんて2人で話していると

廊下から騒ぎ声が聞こえた。




女「「「きゃー!!!」」」




私と平野くんはその声を聞いて

顔をあわせる、と少しだけ笑う。


とコツコツと規則正しい靴音が

私の近くで止まった。




廉「ちょっと近いんちゃう?」




騒ぎ声の原因の本人が

若干嫌味な意味深な声で言って



私と平野くんの間に手を入れる。


平野くんは屈めた腰を伸ばすようにあげると




紫「じゃあ〜行こ〜!」




社長と私の手を無理矢理に掴むと

食堂へと歩いて連れていった。




どこまで自由なんだか…

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作者名:聖マイン(第1号) | 作成日時:2017年9月19日 0時

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