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20話 ページ21






暗くなると困ることが一つ。それは移動に関すること。



今でこそ夏希ちゃんの手によって導かれているものの、後ろを振り返ると真っ暗。もうすでにどう来たのか分からなくなってしまった。



じぐざぐ曲がりくねりながら改めて陣内邸の広さを痛感する。すると夏希ちゃんがちらりとこちらを見やった。



「あのね、ふーんってくらいに留めておいてほしいんだけどね」



「うん」



「実はあたし達が一番最後なの」



少し心配そうに私の顔色を伺った。それもそのはず、今絶賛口あんぐり。



「てことは、もしかして私待ち…?」



「…だけど気にしないで!全員揃ったのはさっきだし、みんなお互い久しぶりだからきっとおしゃべりに夢中になってると思うし!」



夏希ちゃんからの励ましは心強い。けれど事実はとんでもない威力で私に襲いかかる。



全員集合…それも私待ち…そしてその中へ突入…遅れた理由寝坊…



頭がクラクラしてきそうだ。



「親戚の人達もたくさんいるから最初は戸惑うかもしれないけど、ちゃんと紹介するからね」



「ありがとう…」



「だいじょーぶ!なんかあったらあたしがなんとかするから」



そんなこんな廊下を進んでいるうちに居間が見えてきた。あんなにまばらだった机の周りには人が所狭しと並んでいる。



夏希ちゃんの励まし通り、陣内家のみんなは昔話や最近の出来事に花を咲かせている様子。



「来たよー」



「遅れてしまってすみません!」



かくかくしかじかと言い訳垂れる前に、いいよいいよーと寛容な雰囲気で出迎えてくれた。なんて優しくてあったかい人達なんだろう。



夏希ちゃんの隣は原作通り健二くんで、栄さんが上座なのに対して2人は下座。そのため私は夏希ちゃんと理一さんの間、つまり机の側面の一番端にスペースを空けてもらった。



席に着くとまだ直接お目にかかっていなかった、万作さんとか翔太さんとか直美さん、等々の人達がちらちらとこちらを伺っていることに気付く。



ただ、万理子さんからある程度話は聞いているのか、心底不思議そうな、今にも誰?と声に出すような雰囲気ではなかった。



誰かと目が合う度に軽く微笑んで会釈をしているが、もちろんのこと内心気が気でない。というわけで料理に目を移そうと顔を伏せた瞬間、夏希ちゃんの声がかかった。



「それじゃ、紹介するね」

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*まめ丸*(プロフ) - 坂名つばめさん» いえいえ!!はい!更新ゆっくり少しずつ頑張ってください!!ファイトです!! (2019年7月23日 12時) (レス) id: 7b0adad536 (このIDを非表示/違反報告)
坂名つばめ(プロフ) - *まめ丸*さん» ありがとうございます〜その言葉が本当に励みになります!更新頑張ります! (2019年7月23日 12時) (レス) id: 72f167e803 (このIDを非表示/違反報告)
*まめ丸*(プロフ) - 初めまして!!この度見させて頂いて物凄くハマりました!!おかげで元気とワクワクを貰っています!!これからも頑張ってください!!(*´▽`*) (2019年7月23日 0時) (レス) id: 7b0adad536 (このIDを非表示/違反報告)
坂名つばめ(プロフ) - 自衛隊員さん» ありがとうございます〜!頻度上げられるよう頑張りますねヽ(^^)ノ (2018年12月6日 20時) (レス) id: 72f167e803 (このIDを非表示/違反報告)
自衛隊員(プロフ) - 合格、おめでとうございます!!更新を楽しみにしております!! (2018年12月5日 21時) (レス) id: 848cb8c477 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:坂名つばめ | 作成日時:2017年8月28日 3時

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