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『いやいやそんな事は無いぞ。』
そう言いつつも私の口角は上がる一方である。
そんな私の様子に呆れた仕草をした宿儺は、話を変えるようにこれからどうする、と尋ねた。
『…そうじゃのう、とりあえずお主が奴の気を引いてくれぬか?彼奴に拘束されれば私は術式を発動出来ん。』
宿儺「…俺を牧羊犬扱いとは良い度胸だな。」
『まぁそんなに嫌ならばお主一人で倒しても良いのだぞ。』
私は帰るだけだ、と言い残せば巣窟の外へ足を向ける。
宿儺「…はぁ、とっとと終わらせるぞ。」
その言葉にまた私は笑みを浮かべれば、宿儺の方を振り返り頷いた。
真人「ねぇー、もう話終わった?早く続きやろうよー。」
『待たせたな、今から呪いの王とじゃれ合う時間と行こうか。中々無い経験だからのう。』
私がそう言い終わらない内に、宿儺と真人がぶつかり合う。
宿儺は真人の攻撃が私に向かないような立ち回りをしてくれている。
これならば発動出来る。
私は右手を前に突き出せば声を上げる。
『…憑依呪法…【南無阿弥陀仏】!』
そう唱えた瞬間、私の指先には微かに新たな感覚が生まれる。
つまり、憑依する事が成功したのだ。
真人「ッ……!これが…、八百比丘尼の術式か…!」
『…私は優しいからのう。今回だけはこれで逃してやる…だが、次はない。』
私はクイッと指を曲げて真人を操り、操られた真人は自分の腕で自分の腹を刺す。
それと同時に私は術式を解いた。
真人「…あははっ……次は無い、かぁ…。」
ゆらゆらと立ち上がった真人はそう呟きながら風のようにその場を去った。
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Noside
再び巣窟内には静かさが訪れる。
宿儺は地に残っていた真人の血を草履で踏む。
宿儺「ケヒッ…案外あっさりと終わってしまったな…つまらんと思わんか、A。」
『…あぁ…そう、じゃのう…。』
何やらAの様子がおかしい。
ドサッ。
やがて倒れる。
宿儺「…おい…!」
先程までゲラゲラと笑っていた宿儺は珍しく慌てた様子でAに駆け寄る。
Aは口から血を流していた。
宿儺「お前、それは……。」
『…何、気にするでない。これくらい反転術式で何とかなる。……だが、日はそう遠くないようじゃのぅ。』
何が日が遠くないのか、後に虎杖達も知ることになる。
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まっちゃ - すごく面白いです!更新待っています (2021年8月5日 17時) (レス) id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茶柱タッタ | 作成日時:2021年4月7日 20時