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『……さて、その本にはどの位の私の事が書かれているのかもう一度話してもらおうかの。』


私は黙って五条を見つめる。


五条「はは、知りたがりな君に面白い話が見つかったよ。」


くく、と笑い声を上げながら五条はまた別の頁を捲って私に見せる。


五条「【八百比丘尼は不殺(ころさず)の誓いを立てているが、逆らう者及び呪術師は打首にしており唯我独尊の一面もあった。】……さぁこれを聞いて君はどう思った?」



五条の読み上げた文に私は理解が出来なかった。


『私は人を殺してなどいない!!』



如何して…?

何故そんな事を書かれねばならないの?


苦しくて苦しくて仕方が無い。
喉の奥が呼吸で痛い。



五条「……これが君を祓う理由の一つだよ。」


『…、え?』


五条の優しげな声に顔を上げると、私を落ち着かせる為か彼は微笑んでいた。



五条「上の連中はね、皆老人だから大抵こういうので決め付けちゃうんだよ。」



そう言うと何処からか別の本を数冊取りだした。



『これは…?』


五条「有名な呪霊や妖怪の生涯だよ。」



よくよくその題名を見れば【酒呑童子伝説】、【九尾狐伝説】等々確かに私でも聞いた事のある名前ばかりだった。

中には勿論、両面宿儺についての本もあった。



五条「まぁつまり、おじいちゃん達はあくまでもこの伝説の話を信じてる訳。」


『…では私を祓えと言ったのにはやはり有りもしない殺人をしてしまったからか?』


五条「そういう事。…ま、少なくとも僕らは君の味方だからね。」




……私の"味方"。

そう言ってくれるだけで幾分か苦しい気持ちも少しずつ和らいできた。


『ありがとう…。』


五条「ふふ、いいんだよ。…さ、君が祓われない為に少しずつ作戦を練っていかないとね。」


『…作戦…?』


首を傾げた私に五条はにやり、と口角を上げた。


五条「今の所こういうのはどうかなっていうのが一つ有るんだけど、聞いて欲しいな。」


『…あぁ、お易い御用じゃ。』




私は頷いて椅子に座り直した。

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まっちゃ - すごく面白いです!更新待っています (2021年8月5日 17時) (レス) id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茶柱タッタ | 作成日時:2021年4月7日 20時

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