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そして私にはどうしても五条に聞きたいことがひとつあった。

封印が解かれてからずっとずっと尋ねたかった。



『………何故私を祓わずにそのまま封印を解いてしまったのじゃ?』


私は五条を真っ直ぐと見つめた。

確かあの時は虎杖らの面倒を見て欲しい、だった。だが他の理由がきっとあるはず。


すると五条は少し苦笑いを浮かべ後頭部をぽり、と掻いた。


五条「参ったなぁ。やっぱりあの理由は怪しかったかな?」

『そうじゃの。当時は全くお主らの事を知らぬ訳だから。それにどれ程問題児なのかと思ってみれば皆良い子ではないか。』


さて、本物の理由は何なのか。

じっと五条の答えを待つ。



五条「……君はいずれ祓われるのは変わらない事実って事は分かってるよね?」


『…あぁ。それは勿論。』


五条「君についての資料を少し拝見したけど、散々な前世だったそうだね。」


そう言って五条はどこからともなく一冊の紙束を取り出した。

表紙には大きな字で【八百比丘尼伝説】と書かれていた。


『そうじゃの。…でも私はすべき事を全うとした。未練はない。』


五条「…本当に?」


『本当じゃ。』


五条「…そうかい。じゃあこれは知ってる?未練のある人間が呪霊や妖怪になる。」



五条の言葉に私の喉の奥がひゅっと鳴った気がした。


五条「君、宿儺からも言われてるかもだけど無理しすぎなんじゃない?」


私が黙りなので五条はぺらぺらと紙束を捲って、とある頁を私に見せた。


五条「ほら、ここ。【八百比丘尼は食べた人魚の肉の呪いのせいで彼女の婚約者は全員原因不明の死を迎えた。】……これも未練の内なんじゃないの?」



他にもあるよ、と更に頁を捲る五条に私は冷や汗が垂れる。

これ以上虎杖に聞かれたくはない。


そう思い私は早口で虎杖に自室に戻るよう促した。


虎杖「…え、ほ、本当に大丈夫?いける??」


『あぁ、大丈夫じゃ。寧ろこれはお主に聞かれたくない内容での…。済まない。』


虎杖「…分かった。」



虎杖はそのまま教室を去っていった。


先程まで虎杖に握られていた方の手はまだ温もりを宿していたが、反対の手は氷のように冷たかった。

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まっちゃ - すごく面白いです!更新待っています (2021年8月5日 17時) (レス) id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茶柱タッタ | 作成日時:2021年4月7日 20時

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