両片思い《 永瀬 》

＃５ ページ5

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連れて行かれるがままについて行くと、






見事に最短でタクシー乗り場に。








「あ、…ありがとうございました」






？「 ううん、全然っ…また会うやろうしね 」








そう言って男性は去っていった。






最後の言葉の意味は理解出来なかった。








去り際に軽く手を振っていたけど。








ただよらぬ予感がしたのは、気のせいだと思う。








で、タクシー乗り場に着いたはいいけど…ここからどこに行けばいいのか分からない。






実質、教えてもらっていない。








大体、相手がどんな人なのか分からない状態で




いきなり婚約とか意味分かんないし。








そもそもの話…今の時代、婚約って何？






江戸時代じゃないんだから。








なんて深いため息を吐きながら、首筋を垂れる汗を女子力も無く腕で拭っていると…








？「 AA様、ですね？ 」








礼儀正しくも、そんな風に声を掛けられた。








声がした方にハッと振り向く。








私の名前を知っているなら、婚約の話に関わっている人に違いないと思ったから。








でも、その人は無謀にもタキシードを着ていた。








この日照りの強さの中、




あんな服を着てるなんて強者だ。








変人に見えても、何か大切な人かもしれない。








そう思って念のため会釈をすると、








？「 やはり、そうでしたか、笑
廉様からお聞きしている通り、お綺麗な方で 」






「 お、お綺麗な方、？ 」








まるで仏の微笑かのような笑顔で、私では到底、理解出来ないような文字を並べた。








？「 申し遅れました、私は…
廉様の執事の、神宮寺勇太と申します 」








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…いや、廉様って誰！？








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