9_君を、看る ページ22
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You . side
__ぎゅっ
私が目覚めたのは、腰に回された柔らかくも熱い廉くんの腕に、力が入った時だった。
流石に、抱き枕にされるのにも慣れた。
でも…昨日と同じ体勢のはずなのに、何故か分からないけど、なんか違うような気がして。
廉くんを起こさないように振り返る。
そこには、苦しそうに眉間にシワを作って、照れてるわけでもないのに真っ赤な顔があった。
そこで私は、おでこを触らずとも確信する。
「…風邪だね、これは」
「ん、ぅ?…ぁ、A、おはょ…」
私の声が耳に入ってしまったのか、パチリと目を開けて私の名前を呼んできた廉くん。
いや、今更っていうか、…今、不思議に思うことじゃないのかもしれないけどさ?
なんで、私の名前を知ってるのさ。
そんな事を考えながら、いつものお風呂上がりの時よりも潤んだ、とろんとした目を見つめる。
と、“ ん…? ” って優しく微笑みながら見つめ返してくるから、たじろいでしまう。
くっそ、…悔しいけど可愛く見えてくる。
そりゃ、まぁ…好きって気づいてからそれなりに意識しちゃったり、私らしくない訳だけど。
普通に考えて、これを見続けれる奴はいないはず。
「廉くん、熱測ろっか」
私自身の意識を逸らすように、腰に巻きついている廉くんの腕を解くと棚に手を伸ばす。
後ろから “ なんで? ” って声が聞こえてきて。
私は危うく、棚に手を伸ばしたままベッドから落ちそうになって慌てて軌道修正する。
まさかこの人、自分が病人だって事分かってないの?…しんどそうなのに?
「熱あるでしょ?」
「そんなん無いでーす」
私が真っ白な体温計を廉くんの目の前に差し出してあげると、そっぽを向いてしまった。
それでも私は心配だから、ちょっと粘ってみる。
でも、私の方に背中を向けて、熱いはずなのに布団を頭まで被って私の言葉を無視する廉くん。
どれだけ優しく声を掛けても、問いかけてみても、こっちを向いてくれる気配は無くて。
ここで諦めて放っておいてしまったら、廉くんの仕事に影響を及ぼすかもしれない。
彼の仕事仲間である、キンプリのメンバーにも迷惑をかけてしまうかもしれない。
一応、私が年上で拾い主な訳なんだから…ちゃんと看病してあげないといけない気がして。
私は、仕方なく最終手段をとった。
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よえとぎ(プロフ) - ちなみ氏さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけるととても助かります!次の作品は上手く出来るように励むので覗いてみてくださいねw (2018年7月4日 11時) (レス) id: 1406827af9 (このIDを非表示/違反報告)
ちなみ氏(プロフ) - よえとぎさんの小説は毎日の楽しみです。完結の仕方はご自身が納得されてるのであれば全然ありだと思います!おつかれさまでした┏○)) また次作も楽しみにしております! (2018年7月4日 8時) (レス) id: 9730464fb1 (このIDを非表示/違反報告)
よえとぎ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます。頑張りますね! (2018年6月16日 22時) (レス) id: 1406827af9 (このIDを非表示/違反報告)
あや - たのしみにしてます! (2018年6月16日 21時) (レス) id: 3349337455 (このIDを非表示/違反報告)
よえとぎ(プロフ) - 西野ぴよこさん» コメントありがとうございます。これからも廉くん目線を増やしていくつもりなので、期待しててください! (2018年6月13日 16時) (レス) id: 1406827af9 (このIDを非表示/違反報告)
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