＃４ ページ13
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ふわりと鼻腔を擽る、廉くん独特の甘い香り。
頭の中も、感情も、整理なんかつくはずもなくて、ただ大人しく廉くんの腕の中にいる。
戸惑う脳内を整理するには、もう少し時間がいる。
なんて、私が訳も分からないまま、廉くんの背中に手を回すと、腕にぐっと力を込める。
すると廉くんは、さらに腕に力を込めた。
もしかしたら、“ 廉くんが帰ってこない ” って勝手に思い込んでたのは、私なのかも。
でも…じゃあなんで、……
気になることなんて探せば、百も二百も出てくるところなんだけど…今はそうじゃない。
もっと伝えたい事があるはず。
「廉く、…あのね…」
せっかく自分の気持ちに気付いたんだから、会えてる時に伝えておきたいって、
そんな思いからか、思い切って口を開く。
もう二度と会えないから…最後に会いにきたって可能性も、無きにしも非ずだから。
って、恐る恐る廉くんの方に顔を上げると、妙に真剣な目つきで私の目を見てきた。
窓から差し込む満月の光が、上手い具合で雨に濡れた廉くんの瞳を美しく照らしていて、
やけに妖艶な雰囲気を漂わせている。
あぁ、きっと別れなんだろうなって、そんな悲しい想いが頭の中をよぎっていった。
茶色く光る妙な雰囲気を纏った視線に、私の視線を合わせてやって、口を開く。
“ なんで ” って聞こうとしたけど、
「ちょっと、黙って」
なんていう廉くんの被せた言葉によって、私の必死な言葉は消えていってしまった。
どうして廉くんがそんな事を言ったのか、
混乱中の私には全く分からなかった。
そして、ぶっきらぼうに、でも優しく私の後頭部に右手を添えると、廉くんは顔を近づけてきて、
＿＿私の唇に、キスをした。
夜の物静かな部屋に、甘いリップ音が響く。
これまで生きてきた中で一番強く心臓が飛び跳ねて、死にそうなくらい苦しく脈を打ち付ける。
触れた部分から身体中に変な毒が回るように、熱という熱が伝わっていく。
頭がクラリとするような感覚に陥って。
“ ん、” なんて控えめに声を漏らして、私から名残惜しそうに離れていった廉くん。
「え、…ぇ？…」
私の後頭部から髪を解かすように優しく手を離して、両腕で包むように私の腰を抱いた。
さらに密着度が高くなって、胸が大きく跳ねる。
＿＿私やっぱり、廉くんの事…
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よえとぎ(プロフ) - ちなみ氏さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけるととても助かります！次の作品は上手く出来るように励むので覗いてみてくださいねw (2018年7月4日 11時) (
レス) id: 1406827af9 (このIDを非表示/違反報告)
ちなみ氏(プロフ) - よえとぎさんの小説は毎日の楽しみです。完結の仕方はご自身が納得されてるのであれば全然ありだと思います！おつかれさまでした┏○)) また次作も楽しみにしております！ (2018年7月4日 8時) (レス) id: 9730464fb1 (このIDを非表示/違反報告)
よえとぎ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます。頑張りますね！ (2018年6月16日 22時) (レス) id: 1406827af9 (このIDを非表示/違反報告)
あや - たのしみにしてます！ (2018年6月16日 21時) (レス) id: 3349337455 (このIDを非表示/違反報告)
よえとぎ(プロフ) - 西野ぴよこさん» コメントありがとうございます。これからも廉くん目線を増やしていくつもりなので、期待しててください！ (2018年6月13日 16時) (レス) id: 1406827af9 (このIDを非表示/違反報告)
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