りんご味の恋《 岸 》

＃２ ページ37

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優太「 ちょっと前だけど… 」








そんな風に言って悲しそうに笑う。








なんだか少しだけ、胸が締め付けられた。








「 …その人に、未練とか… 」






優太「 無い…だって、Aいるし… 」






「 …え、？ 」








突然の呼び捨てと発言に




心臓がけたたましく音を立てた。








私がいるって…つまり、そういう事？






いやいや、調子に乗るな。








岸さんは、私の事なんか好きじゃな…








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優太「 好きって言ったら、困る？ 」








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静かに放たれたその言葉は






一言一句溢さず私の耳に入ってきた。








「 …でも、私には…… 」






優太「 忘れろよ、あんな女たらし 」








岸さんはそう言った後、私にキスをした。








状況を飲み込むのに、そんなに時間はいらなかったけど心臓の音が半端じゃなかった。








優太「 …ごめん、返事待たなくて… 」






「 ううん、…だいじょぶ 」






優太「 でもほんと、まじで…好きだから 」








彼の気持ちは痛いほど分かった。








だってそう言った時の岸さんの横顔は、






今まで見た中で、一番…真っ赤だったから。








そう、……








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＿＿ りんごみたいに。








りんご味の恋《 岸 》
〜 完結 〜

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