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──終わりの合図を知らせるように地下のホールに置いてあった振り子時計の鐘が鳴り、むうは意識を戻すように短く息を吐く。


地下のホールはもう滅茶苦茶だ。監視役を呼ばれた事もあり乱闘という形になったので余計荒れてしまい、結局壁一面に血がベッタリと付き、床は銃弾が撃ち込まれ、白いテーブルクロスは赤いシミがこびりついてしまっている。これではもう使い物にならないだろう。


そんな床一面に転がっている屍を見下ろすむうの瞳は酷く冷めきっていた。


(まさか、まだこんなキメェ食べ物を趣味としてる奴がいたなんてなぁ…頭が痛くなるぜ)


屍をわざと踏み潰しながら、この会場のオーナーであろう人物の傍に近寄る。まだ息があるようで、むうはその人物の頭を無理やり掴み上げ睨んだ。


「おい、オマエ。薄々この場所では何かやってるとは踏んでたが…まさか娯楽で人肉を競りしてたとはなぁ…厨房見てオレちゃんビビったぜ?」


「ゲホッ……ははっ、侵入者に口出しをして貰いたくないですね。私の芸術という名の美食に」


「はぁ?」


「とある肉屋が潰れてからというもの、私はずっとっ…ずっと、ずっと、あの芸術的な味を探し求めていたんだ……とうとう追い求めたものが出来たと言うのに……」


血反吐を吐きながらオーナーは言葉を振り絞る。オーナーの血走った瞳はむうの前髪の隙間から覗いているオレンジのグルグルとした瞳を確かに見た。そのむうの瞳にオーナーは目を丸くする。


「……あ、貴方はっ……尾幸××様っ?何でっ……?死んだんじゃ」


「クソ親父の名前を出すな。虫唾が走る」


その言葉と同時にむうは感情に身を委ねオーナーの首を跳ね飛ばしてしまった。「あ」と短いオーナーの声が聞こえたがそんなのはとうにむうの耳になぞ入ってはいない。
ゴロリと首が落ちるのを皮切りにむうは立ち上がる。そして、オーナーの片腕を掴み胴体を無言でズルズルと引き摺って運び始めた。一旦厨房に持っていき、解体した後黒い袋に詰めて処分し証拠隠滅を図るためだ。

*→←化け物の住処(後編)※



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作者名:晴傘 | 作成日時:2024年3月5日 6時

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