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化け物の住処(後編)※ ページ5

───××廃ビル、地下ホールにて

その場所は、廃ビルと言うより新設されたホール同然のように埃や傷ひとつない空間であった。
円形のホールには白く綺麗なテーブルクロスがかけられた丸いテーブルがいくつも置かれている。しかし、そのテーブルの上は閑散としていて、何も置かれてはいなかった。


「…全く、今回のメインである『例の食い物』はまだなのか?遅すぎる!もう予定から30分以上経っているのだが!!」


とある闇オークションの参加者が愚痴を零す。肥えた顔は怒りで真っ赤になり、地団駄を踏んでその怒りをオーナーに向けていた。


他の参加者達もそれぞれの小言を言い合い、場の空気はピリつき始めている。オーナーすらもそんな事態に焦り始めていた。


「さ、参加者さま、落ち着いてくださいませっ……少々スタッフらに何らかのトラブルがあったのだと思います!直ちにオーナーである私が確認を……」


すると、突然出入口である扉が開く。オーナーは一見安心した様な素振りを見せるが、服装であるからしてスタッフなのであろう彼女?の顔に面識が一切無かったのである。


唯一顔から見える鋭い歯を持つ口が笑い、白々しくオレちゃんはここで働いてるぜぇ?と言わんばかりに正方形のキャスター付きテーブルに大きめのクローシュを運んでいる。


(彼奴は誰だ……!あんなスタッフ、私は雇ったはずがっ……!!)


「遅いぞ!もう待ちくたびれたでは無いか!」


しかし、空腹で怒りが抑えられない先程の肥えた男はそのスタッフに八つ当たりする様に近付いた。そうして早く食べさせろと言わんばかりにそのクローシュを開ける。その行動にむうは別に反抗はしなかった。


「……っ!?」


クローシュを少し開いた所で中身を見た男は、その隙間から赤い血と共に溢れ出る生肉に動揺を隠しきれずにいた。そのスタッフ…尾幸むうはクローシュを掴んだままでいる男の腕を掴み、


「なあ、オレちゃん特製の『スタッフミート(スタッフらの人肉)』、気に入らなかったかぁ?」


「な、おとこっ……!」


むうは肥えた男の言葉を言い終える前にメイド服に厨房にあったのであろう隠し持っていた肉切り包丁でその首元を掻っ切った。目の前で男の首から飛び出る血を浴びる。


「あーあ、ったく…折角のこの服が台無しじゃねぇか。厨房でも神経使って汚れないようにしてたって言うのによぉ」


チッとむうが舌打ちをすると同時に、参加者達は突然の光景に悲鳴を上げた。

*→←化け物の住処(中編)



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作者名:晴傘 | 作成日時:2024年3月5日 6時

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