化け物の住処(中編) ページ4
「………。」
むうは昨日の偵察について裏路地のゴミ捨て場で考えていた。
先ずは正面突破は現実的では無い、バレて応援を呼ばれるとなると厄介だし、警察が介入してくるとむうも闇オークションらも両者ともに余計に面倒臭い。
それに、きっと向こうの方が武器や仲間等の都合上圧倒的に有利だろう。
…ならば。
(変装、とかかぁ?)
むうの考えはそれぐらいしか思いつかなかった。そうしなければ内部にも侵入出来なさそうだ。
しかし、何としてでも相手にバレずに侵入する。それが一番のカギになることは間違いない。
(そう言えば、彼奴らの所にスタッフみたいな人が時々裏口から出入りしてたなぁ…そこ狙って侵入して、その後の事は上手く侵入してから考えるかぁ)
そうして、むうは先ず裏口から侵入する事を試みた……のだが。
(……あれぇ?なんでこんな事になってるんだ??)
結局侵入したことは出来たものの、何かがおかしい。
確かに潜入する為に裏口からスタッフルームにこっそり入り適当に変装できそうな服を引っ張ってきたつもりなのだが…
…それがまさか、『メイド服』だったなんて。
いや、正確にはその服しか無かったと言った方が正しいだろう。確かに、裏口辺りで出入りしているスタッフらしき人物が女性ばかりだった事をたった今むうは思い出す。
しかし、頭を抱えている暇は無い。今は実行するチャンスがあるしその機会を逃す訳にはいかない。そして何より…
(…この服やたらコケるし、フリフリしてるが…なんか面白れぇ!)
…むうの
こうなってしまうとむうはもう誰にも止められない。満足するまでとことんやり通すのだ。
そして、途中から合流した他のスタッフについて行き、出迎える為に下ごしらえをするのであろう厨房に無事まずは侵入に成功したのであった。
───そうして、むうがその廃ビルを住処にするまであと一日。
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作者名:晴傘 | 作成日時:2024年3月5日 6時