【セカ黒】黒き化け物が染まるまで【派生作品】 (ページ24)

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するとむうの頭を無理矢理上げ、覗き込むようにして見下ろす父親。その顔は当時の姿と変化はしておらず短髪の暗闇に溶ける黒髪が、むうと同じオレンジのぐるぐるとした瞳を引き立たせ「見ろ」と言わんばかりに闇夜に光っている。

「…尾幸むう。君は僕の最高傑作でありながら、最大の汚点だ。未だになぜ君に殺されたのかが見当がつかない。僕は、最高の『父親』を全うした、ただのしがない『一般人』なのに」

…よく言うぜ、本当の一般人は一般人とは言わねぇんだよ。と目を細めながらもむうは心の中で悪態をついた。脂汗が首元から流れ落ちる。

その瞬間、ふと夢から覚める様にその金縛りが解けた。…遠くからサイレンの音がする。きっと誰かがやらかしたのだろう。目の前には何もなかったかのように暗い部屋があるだけだ。むうはそうして、やっと息が吸えるような感覚を覚えた。

きっと今夜はぐっすりと眠ることは出来ない。またスマホを投げてしまいそうなイライラに苛まれながらクシャッと前髪を掴み、かきあげた。

〜『悪夢』(完)〜

お情け無用※→←悪夢