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「へぇ、大きい夢持ってんねぇ。まとめてどうするの?」


「……それは、秘密。」


「なんだよもぉ、勿体ぶらなくていいのに。」


「…嘘は言わないって言った、けど秘密にしないとはってない。」


そのむうの言葉にオレちゃんは悪戯に笑う。ズル賢いというか、子供っぽいというか。


「でもさぁむう君……その顔、君はそれだけじゃなさそうだね」


「え」


何か図星を突かれたむうは微かだが目を開く。その顔は明らかに動揺していた。追い打ちをかけるようにオレちゃんは質問を投げかける。


「楽しんでるでしょ?むう君。その状況に」


「楽しむ……?」


「そう、心臓が飛び上がりそうなぐらいワクワクして、周りが突然明るくなった様にキラキラしているんだ。違う?」


その言葉を聞くや否やむうは俯く。何かまた不味いこと言っただろうかと少し心配に思ったが…それは次のむうの行動で杞憂として終わった。


「…うん、ボク楽しんでる」


顔を上げたむうはぎこちない笑顔を浮かべていたのだ。むうの鋭い歯がギラギラとこの部屋の明かりに反射している。オレちゃんはその顔がむう本来の『性格』であると直感的に感じた。

…この子は、今まで父親に抑圧されていたであろう『何か』が戻り始めている。
オレちゃんも初めて見せたむうの笑顔に「そっかぁ」と相槌を打ち笑顔を返した。


きっと今後もむうはより感情が豊かになるであろう。しかし、それがいい方向に傾くかはたまた悪い方向に傾くかは当の本人次第だろう。


…以上である。

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作者名:晴傘 | 作成日時:2024年3月5日 6時

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