【セカ黒】黒き化け物が染まるまで【派生作品】 (ページ13)

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「…こわい」

「怖い？お父さんが？」

「…パパみたいにならなきゃ、コロされる」

そう言うむうは何かを思い出したのかサッと顔が青ざめる…少し踏み込みすぎたか。オレちゃんは話題を変えようと口を開く前に突然、むうの身体がガタガタと震えだし始める。
不味い、そう思ったのは一瞬の出来事だった。

「っ！？むう君！？」

必死になだめようとオレちゃんは近づき宥める為にむうに近づいた。本来はダメな行為なのだが致し方ない。むうをつなぎ止めている拘束具がガチャガチャと警報のようにやかましく音を立てる。近くに寄るとむうの独り言が聞こえる。

「はっ、パパみたいにならなきゃっ…服装は？口癖は？目線、動き、全部真似しなきゃっ……ご、ごめんなさいっごめんなさい……」

意識が攪乱しているのか此方の声が聞こえていない。顔を覗こうとかがみ、むうの瞳を見た。

───その瞳は恐怖の色に染っていた。子供とは思えないような力で右腕の拘束具を外し、オレちゃんの顔を引っ掻いてくる。
…それは本当に一瞬で何が起こったのか当時は訳が分からなかった。唯一、頬から流れ出る血を確認して分かった事だ。

今日はこれ以上はカウンセリングできないと悟り急遽中止した。父親関連の言葉は取り敢えず控える事にしなくてはいけないと痛感している。

…拘束具を付けていてもなお、あの子はそれを壊し頬を引っ掻かれた。しかし、むうが狙っていたのは目線からして確かに、オレちゃんの『首』だった。
あのままむうが何かしらの凶器を持っていればオレちゃんの命は無かったかもしれない。

…以上である。