甘えん坊 RIKU ページ7
「A〜、、」
『なあにー?』
私の彼氏である陸は、絶賛風邪を引いている。
こういうときの陸はいつもよりも甘えん坊。
「しんどい、、」
『寝たら楽になるかもしれないから目瞑ってごらん?』
「やだ。寝たらどっか行っちゃうでしょ?」
熱のせいで潤んだ瞳で見つめてくるものだから、可愛過ぎてどうにかなってしまいそうだ。
『いかないよ(笑)りっくん、トントンしてあげるから寝よ?』
「...うん。」
お腹の辺りをトントンすると陸の瞼は少しずつ閉じていき、しばらくすると規則正しい寝息が聞こえて来た。
その姿はまるで小さな子供のようで、母性本能をくすぐられてしまうほどに可愛らしい。
朝貼った冷えピタは温くなっていて、張り替えようと袋を開けると中身が入っていなかった。
タオルを濡らそうかとも考えたけど、きっと陸のことだから寝ている間にすぐ額から落ちてしまう。
買いに行くなら寝ている今がチャンスだ。
音を立てないようにゆっくりと椅子から立ち上がり、そのままゆっくりと寝室を出た。
幸いにも家からドラッグストアまでは徒歩五分。
スマホと財布だけ持って急いでそこに向かった。
__
買って来たポカリをタンブラーに入れ替え、冷えピタと一緒に持って寝室に入ればそこには幼い寝顔の陸がいる。
一枚だけ写真を撮ったこと、陸には内緒にしておこう。
温くなった冷えピタを剥がして新しいものと張り替えると、冷たいのか少しだけ顔を顰めた。
頬を撫でると擦り寄ってきて、ついつい口元が緩んでしまう。
ふと時計を見るともう11時を過ぎていた。
そろそろお昼ご飯を作ろうと思い、またさっきと同じように音を立てないように部屋を出た。
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作者名:美夜 | 作成日時:2024年2月13日 0時