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彰吾side


『、ぃ、や、、、、やだ、、、、』





彰「A?」





夢に魘されているのか、苦しそうな表情をしながら声を発した。





何がAを苦しめているのだろう。





彰「A?A起きて。A」



『、、ぅ、、、』





少し体を揺すりながら名前を呼ぶと、目を覚ましてくれた。





その瞳は虚ろで、今まで見たことがない。






彰「A、体起こせそう?」





『...うん』




彰「お腹減ってる?」




『...』




彰「A?」





『減ってないよ』




一点を見つめたまま返って来た返事には、抑揚がない。





彰「今日、何か食べた?」





『ううん』





彰「じゃあ、昨日は?」





『たべてない』




彰「一昨日は?」





『たべたよ』




彰「何食べたん?」





『ラムネ』




彰「あとは?」





『それだけ』





彰「ほんまに言うてる?」




食べることが大好きなAがろくに食べていないなんておかしい。





そう思って聞いてみても、Aは首を縦に振るだけ。




彰「A、ここ最近で一番美味しかったご飯はなに?」





『...おにぎり』





彰「いつ食べたの?」





『先月』





彰「それ以降で美味しかったご飯は?」





『...ラムネ』




あれ?




俺今、美味しかったご飯って聞いたよな?





言い間違えたかな。





彰「美味しかったご飯は、何?」





『ラムネだよ。』





彰「...本当に言ってる?」





『うん』







彰「...もしかして、ラムネ以外何も食べてない、ってこと?」






『うん』





彰「まじか...」





Aに限ってそんなことありえない。





そう思いたいけど、きっとこれは真実。






どうしてそうなったのか気になるけど、それを聞くのは今じゃない。





Aを見ていて、なんとなくそう思った。





今はとにかく、何か食べさせないといけない。





彰「A、キッチン借りてもええ?」




そう聞くと、小さく頷いてくれた。





彰「ありがとう。」




冷蔵庫は空っぽだったけど、棚を開けるとレトルトのお粥が入っていた。






そういえば、2ヶ月前にAが風邪を引いて俺が買って来たんだっけ。





余分に買っておいてよかった。





過去の俺、ありがとう。

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作者名:美夜 | 作成日時:2024年2月13日 0時

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