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翔吾side
今年最初の日、Aちゃんが俺の側からいなくなった。
"普通の幸せを手に入れてください。私のことは探さないで。Aより"
そんな置き手紙を残して。
あの日から毎日、仕事終わりにAちゃんの会社の前で待っとる。
けど、全くそれらしき姿が見つからない。
Aちゃんはいつも19時には絶対に帰って来ていたからそれまで待ってみてはいるものの、未だに会えていない。
もっと遅い時間まで仕事しとるんかな。
いや、その可能性は低いか。
Aちゃんが前に、夜遅くに帰るのは危ないからという理由で上司に帰らされると言っとったから。
でも、だとしたらどうして会えないん。
ていうか、Aちゃんは今どこに住んどるん。
今のAちゃんの全てがわからない。
Aちゃんを取り戻したい。
もう二度とどこにも逃げないように、閉じ込めてしまいたい。
二度も逃げられるなんて想像すらしてなかった。
そんなことを考えながらいつものようにAちゃんの会社に向かっていると、信号の向こうに見覚えのあるマフラーが見えた。
俺がAちゃんにあげたのと同じマフラーが。
その人がこっち側に渡って来て、ようやく顔が見えた。
その人は間違いなく、Aちゃんやった。
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作者名:美夜 | 作成日時:2024年2月13日 0時