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樹「俺、風呂入って来るんでお二人でちゃんと話し合ってくださいね。」




そう言って樹くんはリビングを出て行った。












「Aは、俺と別れたいって思ったことないの?」




そう言う北ちゃんの瞳は、少し怯えていた。





だから私は、もう一度北ちゃんを抱きしめた。




『...出会った日のこと、覚えてる?』





「うん」





『私、元々人見知りが酷くて、入社当初は凄く不安だったの。周りに溶け込めるかな、仲良くできるかな、って。でも、そんな不安はすぐに吹き飛んだ。なんでだかわかる?』





「...わかんない」




『北ちゃんが話しかけてくれたからだよ。北ちゃんは、頼り甲斐があると思ったらちっちゃなイタズラを仕掛けて来たり、ちょっとしたことで拗ねたり、笑ったり、落ち込んだり、表情が豊かな人だなって思った。その表情全部が好きで、気づいたら北ちゃんに夢中になってた。
告白をオッケーされたとき、本当に嬉しかった。恋人として過ごしてみてわかったのは、あなたはどこまでも優しい人だってこと。私を好きになってくれて嬉しかった。
プロポーズされたとき、こんなに幸せなことってあっていいんだって思った。
毎日毎日愛情表現してくれて、毎日毎日幸せで。
ああ、北ちゃんと結婚してよかった。って毎日思ってる。
なのに今日、北ちゃんは私から幸せを奪おうとした。
生きる理由を奪おうとした。
私を独りにしようとした。』




「ごめ『でもね、それでも私は北ちゃんが好きなの。お願いだから、他の子の意見を鵜呑みにするのはやめてよ。私だけを信じてよ。』





悔しかった。




北ちゃんが私以外の子の意見を私もそう思っていると勘違いしたことが。





私の気持ちが伝わりきってないってことでしょ?





「...俺、Aが別れを望んでたらどうしようって思ったら、どうしてもいつも通りになんてできなかった。初めてなんだ。こんなに誰かを愛したの。だから怖かった。逃げたんだ。Aの本音を聞くのが怖くて、逃げた。
ごめん。弱虫でごめん。」




北ちゃんのこんな姿は初めて見た。




二人でもっと幸せになりたいって、そう思った。




『私はどんな北ちゃんも大好きだよ。愛してる。一生離れたくない。もし本当にごめんって思ってるなら、もう一生離さないでよ。』





「うん。絶対に離さない。一生逃げないでいてくれる?」




『もちろん。』




いつもの表情に戻った彼は、いつも通り私の首筋に噛みついた。

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作者名:美夜 | 作成日時:2024年2月13日 0時

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