夜に溺れる Kenta.K ページ1
健太がまたどこかへ行ってしまう夢を見た。
不安でたまらなくて目が冴えてしまった。
スマホで時間を確認すれば、時刻はまだ夜中の二時。
横を見れば大好きな彼の寝顔がある。
健太が私のところへ戻ってきてくれたあの日から3年の月日が流れた。
今は健太が出て行ってしまう前のような幸せな日々を送ってる。
もちろん変わってしまったことだってあるけれど。
例えば、私はストレスを感じるとお酒を飲み過ぎてしまう。
それから、煙草も吸ってしまう。
辞めたいのに、なかなか辞められないのが現実。
それでも前より飲む本数は少なくなった。
それに、煙草だってたまにしか吸わなくなった。
その理由は間違いなく健太がいるから。
いつもはストレスが溜まったり悲しいことがあったりすると、健太が話を聞いてくれる。
"煙草や酒に逃げる前に俺を頼って。"
そう言ってくれたからできるだけ頼るようにしてる。
けれど今は夜中の二時で、不安の原因は健太だ。
健太が一途に私を愛してくれていることくらいわかってる。
わかっているからこそ、こんな不安を打ち明ける勇気はない。
だから久しぶりに煙草を吸いにベランダに出た。
あの頃負った傷が、こんなにも深いものだったなんて知らなかった。
真っ直ぐに愛を伝えてくれる健太を信じていないわけじゃない。
健太が離れて行った理由は私への精一杯の優しさだから、恨んでなんていない。
だからこそ、自分が小さな人間に思えてしまって辛い。
健太を100%信じられていないのではないかと思ってしまって、苦しい。
あの頃、健太以外のなにかに依存しようと必死だった。
他のなにかに依存すれば気が紛れると思ったから。
だけどそんなの一時的なものに過ぎなかったんだ。
あの頃の私がすべきだったのは、別の何かに依存することなんかじゃなかった。
一人になっても強く生きていけるようになることだった。
なんて、幸せが戻ってきた今思ったところで過去の自分は納得しない。
だけどもし過去の自分に何かを伝えることができるのだとすれば、
その依存は、将来自分を苦しめることになるよ。って、
自分の気持ちと向き合うのが怖くて、煙草に、酒に、逃げてしまうようになるよ。って、
健太を悲しませることになるよ。って、
伝えたい。
徐々に依存しなくなって行くけど、そんなの最初からしない方がいいよ。って。
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作者名:美夜 | 作成日時:2024年2月13日 0時