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『陸、先輩?』
陸「ねえ、凄い失礼なこと聞くけどさ、どうして笹橋がよかったの?」
『優しかったから、、です』
陸「あいつの噂、知ってたりする?」
『女遊びが激しいってやつですか?』
陸「知ってたならなんで...」
『信じたかったんです。私への優しさは、好きは、本物だって。今思えば噂を信じればよかったんですけどね(笑)まあ、自業自得です』
陸「Aちゃんは人を噂で判断しない素敵な子だよ。Aちゃんは何も悪くない。ただ、笹橋は俺から見てもあんまりいい奴じゃない。」
『そう、なんですか?』
陸「うん。あいつとクラス一緒なんだけどさ、休み時間になる度に女の子と電話してる。しかも毎回"放課後会わない?久しぶりにシよ"って言ってる。クラスのやつに聞かせたいのかなんなのか知らないけど。しかも毎回同じフレーズだよ。」
『...私をデートに誘ったのは寝るためだったみたいです。私も暇つぶしに過ぎなかったんですね(笑)せっかくありのままを曝け出せる人ができたと思ったのに』
陸「ありのまま?」
『はい。私、5人兄弟の長女だからどうしてもわがままなんて言えなくて。だから甘えられる存在ができたんだって舞い上がってました。またダメでしたけどね(笑)』
陸「...俺じゃだめ?」
『、へ?』
陸「俺、Aちゃんが好き。今こんなこと言うのはおかしいけど、笹橋の何百倍も幸せにできる自信あるよ。本気で好きだから。」
陸先輩が私を好き?
どうしたらいいんだろう。
失恋したばかりというのもあるかもしれないけど好きなのかどうかわからない。
第一私とは釣り合わないよ。
『陸先輩にはもっといい人がいますよ』
陸「どうしてそう思うの?」
『だって陸先輩はキャプテンになるほど努力家でみんなに優しくて慕われてて面白くてかっこいい。でも私は全く正反対だから陸先輩とは釣り合わないです。』
陸「何言ってんの。Aちゃんがマネージャーとしてみんなを支えてくれてるからサッカー部は成り立ってるわけだし、なにより1人でこなしてるじゃん。俺よりも凄いよ。」
『そんなこと絶対に...』
陸「それに!俺は、本気で好きでもない人にマフラーなんて貸さない。Aちゃんが好きだから貸したの。Aちゃんだから貸したの。それだけじゃまだ足りない、かな」
"そんなこと絶対にない。"
そんな言葉は最後まで言う前に遮られた。
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作者名:美夜 | 作成日時:2023年10月15日 22時