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目が覚めると見慣れない天井が目に入った。
あ、そうだ。川村さんが家にあげてくれたんだっけ。
そういえば頭痛が少しマシになってる。
体を起こして周りを見渡すと扉の向こう側の電気がついていて、とりあえず行ってみることにした。
〔ガチャ〕
壱「お。起きた?雨止んだみたいやけど、もう大丈夫?」
『あ、はい。マシになりました。あの、夜遅くに家にあげていただいてありがとうございます。すぐに帰ります!』
壱「それ本気で言ってる?今もう夜中の12時やで?こんな時間に出歩いたら危ないから今日はもう泊まっていき?」
『いや、でも』
壱「これは先輩命令。ほんまに危ないから、な?」
『ごめんなさい。ありがとうございます』
壱「それでよし。せや、Aちゃん食欲ある?」
『食欲はあります』
壱「ならよかった。ご飯作ったから一緒に食べへん?明日は午後からやし、遅めの夜ご飯にしよ。」
『ありがとうございます。』
「『いただきます』」
机にご飯を持って来てくれて、一緒に手を合わせた。
そういえば、どうしてスーツを着てないんだろう。
『あの、川村さん。どうして私、スーツじゃないんでしょうか。』
壱「あれ、覚えてない?スーツで寝るのは流石にしんどいやろうからスウェット着せてん。あ、Aちゃんが着せてって言ったからであって決して俺が勝手に着せたわけやないから安心して。」
まじか。
とんでもないことを頼んでしまった。
いやまあ川村さんならむしろ嬉しいぐらいだけど。
『お見苦しいところをお見せしました。ごめんなさい。嫌でしたよね?』
壱「俺は全然嫌じゃないで?好きな人が頼ってくれるなら誰でも嬉しいやろ」
『.....え?す、好き、好きな、人?』
壱「あ、、、」
『あ、ごめんなさい。変な勘違いしちゃいました。川村さんが私なんかのこと好きなわけないですよね。』
壱「いや、合ってる。好きやで。Aちゃんのこと」
『..うそ、本当に?』
壱「ほんまに。ほんまに好き。なあAちゃん、俺と付き合わん?」
『わ、私も好きです!入社した頃からずっと好きでした!』
壱「てことは?」
『よろしくお願いします』
壱「ほんま?!ありがとう!」
私たちは今日この日から交際がスタートした。
悪天候も、たまには悪く無いのかもしれない。
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作者名:美夜 | 作成日時:2023年10月15日 22時