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《まま!グスッ、きて!》



『壱くん!どうしたの?』



振り向くと、泣きながら私の元へと駆けてくる我が子がいた。



《いいから!》



私よりもずっとずっと小さな手が私を引っ張っていく。



「あ、ほんまに連れてきよった(笑)」



『?』



《ここすわって!》




『はいはい(笑)どうしたの?』



《まま!ぱぱとわかれていちくんとけっこんして!》




「何言ってんねん。ママはパパのこと大好きやから別れへんで。」



《いやや!わかれて!グスッ》



『ちょ、なんでこうなったの?』




「壱がAちゃんと結婚したいとか言うから、Aちゃんは俺のお嫁さんやから壱とは結婚できへんでって言ってん。そしたらこうなった。」




『ああ、そういうことか(笑)』



《けっこんして!グスッ》



『ふふっ、いいよ(笑)』



《ぱぱ、きいた?!》




"Aちゃん、本気なん?"


'そんなわけないでしょ(笑)私には壱馬くんだけだよ。'



"...ならなんで了承したん"



'今は壱くんに合わせてあげて(笑)'



"しゃーなしやで"



'ありがとう(笑)'



実は死神になってから、壱馬くんとは心の声でも会話ができるようになった。


「...ママのこと泣かせへんって約束できるんやったら結婚してもええで」



《やくそくする!》



「ほんまやな?」



《ほんま!》



「はぁ、、わかった。」



《やったぁ!》



そのとき、



〔チリンチリン〕


玄関のベルが鳴った。


陣「壱馬ー、Aちゃーん、壱ー!おるー?」
 


《あ、じんくんや!じんくーん!》


陣「お、壱!久しぶりやな!」



《じんくん!今な!...》



先ほどの出来事を楽しそうに話す壱。



その隣で、少し不機嫌そうな壱馬くん。



陣さんは何かを感じ取ったのか、


陣「なあ壱、今日じんくんの家泊まる?」


そんな提案をしてくれた。


《え?!泊まりたい!いい?》


『いや、でも...』



「陣さんが大丈夫ならお願いしてもいいですか?」



陣「お、任しとき!壱、じんくんの家行こか!」



《うん!いってきまーす!》



『「いってらっしゃい」』



__

夜になり、いつも通り壱馬くんと布団に入った。


すると壱馬くんは私に覆い被さって首筋に噛み付いてきた。


「壱に合わせたんやからご褒美ちょーだい。」


どうやら壱を陣さんに預けた理由はこれらしい。





目が合うと、どちらからともなく唇を重ねた。


私は今、凄く凄く、幸せだ。

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作者名:美夜 | 作成日時:2023年10月15日 22時

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