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『ルール、違反？』
「生者の人生に関わるのはルール違反やねん。
もしもルールを破れば死者を死後の世界に導くことはできない。つまり、案内人がいなくなった死者は永遠にこの世とあの世の狭間を彷徨うことになる。」
なら、壱馬さんを責めていい理由なんてないじゃん。
なにやってんだ、私。
何も悪くない壱馬さんに怒ってさ。
本当にバカだな。
あの橋に貼られていた
"あなたを想っている人が、絶対にいます。"
って言葉は、私にも当てはまるものだったんだ。
「...なあAちゃん。怖いことは何も起こらんから、今から閻魔様のところ行こか。」
『え、えんま様って、あの閻魔大王？』
「そう。地獄に行ったら最初にすることは、こっちの世界に来ましたよっていう記録をとるために閻魔様に挨拶しに行くことやねん。詳しいことは着いたら話す。」
『わ、わかった。』
「入口まで徒歩10分くらいかかんねんけど行ける？」
『うん、大丈夫。』
「はい」
どうして手出してるんだろう。
もしかして、私には見えない何かを持ってる？
「そんなわけないやろ(笑)案内するから、手繋ご」
あ、そっか。
心の声読めるんだった。
「よし、行こ」
壱馬くんの手は、温度が無い。
でもきっと、私の手にも温度はないんだ。
壱馬くんの隣を歩いていると、私の両親が見えた。
焦った様子で外を走ってる。
まるで何かを探しているかのよう。
でももう私には関係ないから。
そう思ってスルーしようとしたときだった。
父「いたか？！」
母「いないわよ！どうしよう！このままじゃ綺羅が連れて行かれちゃう！」
父「くっそ！あいつどこに逃げやがった！大金が入るチャンスなんだ、なんとしてでも見つけるぞ！」
母「ええ。綺羅と幸せに暮らすためにxx組と契約したのに！これじゃ綺羅が危険な目に遭っちゃう」
は？
xx組？
あいつらは、女性を高額で買い取って欲を発散させるために利用したことで数年前に逮捕された極悪集団のはず。
そんな奴らに売り飛ばされようとしてたんだ、私。
なんだ。
生きていたところでどうせ運命は残酷だったんだ。
私には幸せな未来なんてなかったんだ。
これじゃ、なんで生まれてきたのかわかんないよ。
なんで産んだんだよ。
私は金より価値の低い人間なのかよ。
『うっ、、ｹﾞﾎｯ、、ｵｴｯ、、ｯふ、う、、』
「Aちゃん？！」
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作者名：美夜 | 作成日時：2023年10月15日 22時
