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目が覚めると見慣れた天井で、時刻はまだ朝の4時。




家族はまだ寝ていて、家の中は静か。



この時間なら家を出てもバレない。



逃げるなら今しかない。




迷ってる暇なんてなくて、何も持たずに外に出た。




玄関から出たら音でバレるかもしれない。



だからスリッパを履いて窓から出た。




寒さを堪えて歩き、たどり着いたのは人目につかない大きな橋。




高さは5メートル以上あるそうで、落ちれば助かることはない。




だからこそここを選んだ。



消えてしまおうと決めたんだ。



もし仮に家族に見つからない場所まで逃げることができたとして、私の自由は手に入らないから。




生きていても売り飛ばされてしまう。



私の顔はもうバレてるから、逃げたところできっと見つかる。




お金なんて持ってない私には、遠くに逃げる手段もない。




この橋は、沢山の人が自分で自分の人生を終わらせた場所。



だから橋には張り紙が貼られている。




"生きるのを諦めないで"


"あなたを想っている人が、絶対にいます。"


"一人で抱え込まないで"




これを見て思う。


ふざけんなよ、と。



そんな無責任な言葉が欲しくてここに来たんじゃない。



誰かにとっては救いになる言葉でも、私には無責任としか思えない。



だって、私が今まで負ってきた傷は、これを見て引き返せるほどの浅いものじゃないんだよ。




もう、終わりにしよう。



何もかも全部、忘れよう。



楽になろう。



最後にもう一度、この世界の空気を吸った。



そして、飛び降りた。



















はずだった。

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作者名:美夜 | 作成日時:2023年10月15日 22時

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