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彰「落ち着いた?」




『うん。ごめん、こんなところで。上がって』



相変わらず彰くんからは安心する匂いがする。



柔軟剤とかとは違う、彰くんの匂い。


彰「おじゃましまーす」



『どうぞー。ね、時間ある?』



彰「あるけど、なんで?」



『いや、久しぶりやから一緒にいたいなーって』



彰「ええよ。俺も一緒にいたいし」




『やった!お茶入れるからソファー座ってて』




彰「ありがとう。お、映画見てるん?」




『見ようかなーって思っとったんじゃけどまだ探し中。
彰くん何かおすすめある?』




彰「おすすめ?うーん、そうじゃな」




『適当に選んでー』



彰「おっけー。あ、これは?」




『面白い?』




彰「結構話題になったやん」




『そうなん?ならそれ見よ』




彰「りょーかーい」




お茶を淹れて、彰くんの隣に座った。




『はい、お茶。あと桃缶』



緑茶と桃缶。


子供の頃はこれがお気に入りのおやつだった。


彰くんはいつも私に桃を一つ多くくれたんだっけ。



彰「ふはっ、ほんまにこれ好きやな(笑)」



『彰くんも好きじゃろ』




彰「うん(笑)覚えててくれたん?」



『当たり前』



彰「ほんまに俺のこと好きじゃな(笑)」




『彰くんのことは誰よりも知っとる自信ある(笑)それに、彰くん以外に大事な友達もおらんしな』



彰「...そっか、」



『そんなに寂しそうな顔せんでよ(笑)。映画見よ?』



彰「A、映画の前に話聞かせて」




『話?』



彰「そ。転校してった後の話。」



『私の話はいいよ(笑)それより映画見よ?』




彰「ほら。またすぐそうやって誤魔化そうとしとる」




『そんなこと、、』




彰「いくら会えなかった期間が長くても俺のことは誤魔化せんからな。どうせAのことやから一人で抱え込んでるじゃろ。」




『...長くなるし、しょうもないで?』




彰「沢山聞かせて」




『わかった、、』




普通の人となんら変わらない日々を送ってきたはずなのに、なぜか楽しい思い出は残ってくれなかった。





だから話すのを躊躇ったけど、そうだ、彰くんは私の気持ちにいち早く気づいて認めてくれる人だったんだ。



だったらもう怖くない。



だってきっと、彰くんは私を肯定してくれるから。



どれだけつまらない話でも、楽しそうに聞いてくれるから。



決して馬鹿にしたりしないから。

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作者名:美夜 | 作成日時:2023年10月15日 22時

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