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翔吾side

ふと目が覚めて、Aちゃんがいないことに気づいた。



時計を見ると、今はもう夜中の3時。


こんな時間なのにAちゃんがベッドにいないことに違和感を感じて寝室から出た。


すると、電気が一つもついていなかった。



暗いところが苦手なAちゃんが電気をつけないなんておかしい。



翔「Aちゃん?Aちゃんどこ?」



とりあえず電気をつけて家中を探し回ったけど、どこにもいなかった。



一度落ち着こうとリビングに戻ってきたとき、


翔「ん?なにこれ」



机の上にメモと四角い缶が置いてあることに気づいた。



〈大好きな翔ちゃんへ
突然消えてごめんなさい。
私は大丈夫だから、どうか探さないで。
缶の中にほんの少しだけどお金が入っているから
遠慮なく使ってね。

翔ちゃんの幸せを誰よりも願っています。
  Aより〉




缶の中を見てみると、沢山の千円札があった。



翔「これって...」



このお金、Aちゃんが毎週毎週頑張って貯め続けとったやつや。



"いつか柴犬と一緒に暮らしたいからお金貯める!"



そう言って大学生の頃から貯め続けてた大切なお金なはずなのにどうして?



とりあえずAちゃんを連れ戻さなあかんと思って電話をかけてみることにした。


けど、


〔プルルルル プルルルル〕


着信音はすぐ側で鳴った。



最初の希望は消えた。



こうなったらもう、手当たり次第探すしかない。



スマホと財布だけ持って、急いで家を出た。



こんなとき、Aちゃんはどんな場所に行く?


1人で知らない場所に行くような性格じゃないから、きっと一度でも俺と一緒に行ったことがある場所にいるはず。



この時間帯に開いてるお店なんてないから公園ぐらいしか思いつかなくて、とりあえずそこまで走った。



翔「Aちゃん?Aちゃんおる?」



端から端まで見たけど、いなかった。


この近辺の行ったことがある公園全てを探すしかないか。



翔「あ、」


違う。


あの公園しかない。



ベンチしかないあの公園。


小さい頃、俺がよく泣いてた秘密の場所。



あの場所にいればいつでもAちゃんが来てくれたから、悲しいことがあった日はあの場所にいた。



高校生になると、今度はAちゃんがあの公園によく行くようになった。



あそこは、俺らが救いを求めたときに必ず行く場所。

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作者名:美夜 | 作成日時:2023年10月15日 22時

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