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あれから数時間経ち、
最後の"おやすみ"を交わした。



翔ちゃんの体温を感じるのも今日が最後。



このままずっとこうしていたいというのが本音。



だけどこれは自分で決めたことやから。



少しすると、翔ちゃんの寝息が聞こえてきた。


そろそろ行かないと。


翔「ん、、A、ちゃん、?」



『ちょっとお水飲んでくるね。』



翔「ん。はよ、かえって、、、き、、て、」



やっぱり翔ちゃんの寝顔が世界で一番愛おしい。


『今までありがとう』


起こしてしまわないように、翔ちゃんに触れるのは我慢。



名残惜しいけど、そっと温もりを手放した。

__

財布と通帳、それから、柴犬のぬいぐるみをショルダーバッグに入れた。


このぬいぐるみは、
16歳の誕生日に翔ちゃんがくれた子。


"暖炉の暖って書いて、だんちゃんやで!"


そう言いながら渡してくれた。


翔ちゃんがお小遣いを貯めて買ってくれて、名前までつけてくれた思い出深い大切なこの子と一緒なら怖くない気がする。



それから、このショルダーバッグは17歳の誕生日に翔ちゃんがくれたもの。


"Aちゃんに似合いそうやと思ってん!"



そう言いながら肩にかけてくれた、端の方に柴犬の刺繍が施された大切なショルダーバッグ。



そして、

"今年はこれ巻いて一緒にイルミネーション行こ!"
 
18歳の誕生日にくれたマフラーを巻いて、



"去年はマフラーやったから、今年はこれも着てイルミネーション行こ!"


19歳の誕生日にくれたコートを着た。




翔ちゃんとの思い出を身につけていれば、独りでも怖くない気がした。



メモと少しのお金を残して、今にでも雪が降り出しそうな寒さの街へと足を踏み出した。

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作者名:美夜 | 作成日時:2023年10月15日 22時

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