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翔吾side

翔「ん、、」



頬が濡れたような感覚がして目が覚めた。



目の前には、俯くAちゃん。



どうやら、俺の頬を濡らした犯人はAちゃんらしい。



翔「Aちゃん、どうしたん」



Aちゃんの涙を拭いながらブランケットを掛け直す。



『...』



翔「嫌なことあった?それとも、怖い夢でも見た?」



『...』




質問をしても、首を横に振るだけ。



なにがあったん。



言えないほど嫌なことでもあったんかな。




翔「Aちゃん。今、苦しい?」


そう聞くと、今度は首を遠慮がちに縦に振った。



翔「そっかそっか。...なあ、Aちゃん?言える範囲でいいから、何が苦しいのか教えてくれへん?」



『...』



翔「お願い。」



『...、やねん』



翔「ん?」



『嫌やねん。...翔ちゃんのお姉ちゃんなの、嫌やねん』




翔「...そう、、なんや。ごめんな?こんな弟で。頼りないよな」




『ちゃうねん。翔ちゃんが嫌なんとちゃう。』



翔「...じゃあ、どうして嫌なん?」



『私、、ッ、、、わ、たし、、ッ、』



こんなに言葉に詰まる様子は初めて見た。



こういうときは、



翔「大丈夫。大丈夫やから。ゆっくりで大丈夫やから。俺の目、見なくてもいいから。Aちゃんのペースで大丈夫」



抱きしめて安心させてあげるのが一番やな。



Aちゃんは人の温もりが大好きやから。



『、、お姉ちゃんやと、、、ッ、知りたく、ない、、ことまで、、、グスッ、、、、、聞かされんねん、、ッッ、、!』




翔「知りたくない、こと?」



『翔ちゃん、、には、、、言えない、。やけど、、ッ、、、知りたくなかった、ッ!』




翔「Aちゃん...」



俺には言えないようなことを抱え込んでるん?


"お姉ちゃんやと知りたくないことまで聞かされる"



この言葉からして、家族内のことで間違いないはず。



なにがあったのか気になって仕方ないけど、きっと言えなくて苦しんでんねんな。



ごめん、という意味を込めて背中をさすると、
俺の胸に顔を埋めてとうとう何も言わなくなってしまった。

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作者名:美夜 | 作成日時:2023年10月15日 22時

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