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『足りなくない、です。』
陸「え?」
『足りなくないです。十分すぎるぐらいです!』
陸「本当に?」
『はい。でも、まだ心の底から好きだって言っていいのかわからない。もしも今の状況に呑まれてるだけだとしたら陸先輩にもの凄く失礼じゃないですか。だから、その、』
陸「ゆっくりでいいよ」
『...もう少しだけ、返事を待ってくれませんか?』
陸「もちろん。いつまででも待つよ。ありがとう。」
_____
その日から毎日、陸先輩を目で追うようになった。
すると陸先輩はその視線に気づいては笑顔を向けてくれた。
そんな日々を1週間も送っているうちに、私は間違いなく陸先輩の虜になってる、そう確信した。
だから今日こそ返事をしよう。
そう思って陸先輩に部活終わりに少しだけ時間を貰った。
『あの、こ、告白の返事を、、、した、くて』
でも、いざ言うとなるとどうしても目が合わせられなくて言葉も詰まってしまう。
陸「真剣に考えてくれたんだね。嬉しい、ありがとう。Aちゃんのペースでいいから、焦らなくていいよ」
ああ、やっぱり陸先輩はどこまでも優しくて温かい。
『...私、裏切られるのが怖くてすぐに答えを出せませんでした。けど、やっぱり陸先輩の笑顔を見ると、声を聞くと、優しさに触れると、好きだなって思うんです。陸先輩との未来が見てみたいんです。だから、』
陸「まって」
『...?』
陸「俺から言わせて欲しい。Aちゃん、俺と付き合ってくれますか?」
『ッッッ、はい!』
陸「ありがとう!一生大事にするから!」
そのときだった。
まるでドラマや映画のようなタイミングで雪が降り始めた。
陸「あ、、初雪だね(笑)」
『本当ですね(笑)』
陸「Aちゃん。」
『はい、?』
あの日と同じようにマフラーを巻いてくれた。
『陸先輩が寒くなっちゃいますよ』
陸「俺はいいの(笑)」
『でも、、、あ!ならこうしましょう!』
足りない頭で必死に考えた結果出て来た答えは、
陸「ふはっ、最高(笑)長めのやつ買っといてよかったわ(笑)」
一つのマフラーを2人で巻くことだった。
『これなら陸先輩も寒くないですか?』
陸「うん。すっごくあったかい。あ、手貸して?」
『...?』
陸「これでもっとあったかいでしょ?」
『はい///』
陸「顔真っ赤(笑)」
陸先輩のコートのポケットの中には、繋いだ2人の手。
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作者名:美夜 | 作成日時:2023年10月15日 22時