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そもそも、僕は何故あの時彼を呼び止めたのか
咄嗟……としか言えない
彼の姿を見た時、脳で考える前に身体が、口が、動いていた
実際、彼の事は全く知らないに等しい
苗字と職業、あと変わった趣味
それだけなのに、こうして一緒に居るだけで、安心するのはいったい…
「……さま、榎本様」
「え、…あ、はい」
「どうしました？ボーっとしていましたが」
影山さんが心配気に僕を見つめてくる
……それだけで自分にとって不可思議な感情が顔を出してくるような
「いえ、大丈夫ですので」
表情を変えないのは得意だ
それでもこちらを見つめてくる影山さんに少し居心地が悪くなる
「何かあれば仰ってください」
その時の笑顔が……以前事件現場に誘った時に見た笑顔と違い、何処か慈愛に満ちている様に見えたのは
僕の思い過ごしでしょうか―――
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作者名：櫻華
| 作成日時：2017年11月30日 10時
