不思議の国の５色の虹【ars】 (ページ28)

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王子が出会った弁護士 (深山×御村) ページ28

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山田はスーパーの特売があると言って先に帰り
歩いて帰りたい気分だったから磯貝に断りを入れて、通学路を少し外れながらブラブラとしていた

そこで、ある人物に目が止まった

スーツにリュック
まぁ格好は普通なんだけど、行動が普通とは違った

道行く人に何かを見せて話を聞いていたり
キョロキョロ辺りを見回していたと思ったら何かを見つけたのか、どこかに電話をしたり

サラリーマンでは、ないかな

考えられるのは刑事か探偵あたり
でも刑事にしては格好が若干ラフな気がするし、
探偵にしては目立っている気がする

なんとなく見ていると、
………ガッツリ目が合った

その人物はこちらに近づいて来たかと思うと
「ちょっといいですか？」
と言ってきた

「はい。何ですか？」

「この写真の人、見た事ない？」

見せられた写真には中年の中肉中背の男性が映っている
知らない、と答えようとして……引っ掛かりを覚えた

その一瞬の動きを捉えたのか
「知ってるみたいだね」
と言われたので慌てて否定した

「知りはしません。ただ……見た事がある気がしただけで」

どこにでもいそうな人物
だけど、なんか……

その人物は何かを考えて、言った

「少し時間ある？」

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「申し遅れましたが。弁護士の深山といいます」

近くの喫茶店に誘われて
まぁこんな事知れたら磯貝辺りが煩いだろうと思ったが、ついて行った
特に怪しい感じは無かったし
(昔から変質者には気を付けているからその辺はなんとなく分かる)、
なにより面白そうだと思った
山田辺りなんかは「御村くんの悪い癖だよ」とか言いそうだが、
俺の中で今一番面白いお前が此処にいないのが悪いんだ、という
まぁ自分でもよく分からない言い訳を頭に描きながら目の前の人物と対峙した

「あぁ、弁護士さん」

渡させた名刺を見ながらそう言うと、どこか無邪気な笑顔を向けられた

「君、高校生だよね？その制服…一ノ宮？」

「そうです」

注文した珈琲を飲みながら答える俺の言葉をノートに書き込んでいく深山サン
でもなー、そんな有力な情報は得られないと思うよ？
てか、よく耳触るよな。癖かな？

「それで…、実は目撃者を探していてね」

「目撃者？」

「要するに、この人のアリバイを立証したいんだ」