＿＿6 ページ42
「………あ、」
「…へ？」
突然隣から声が聞こえたから、そちらを向くと
土鍋の火力調整をして
満足そうに俺の方を見て
「この前教えてもらったからな。火加減はこれでいいはず」
得意げに笑ってる貴方が……
「……んじゃ、食べる時楽しみだね。今は蓋開けれないから」
「おう。絶対大丈夫！」
笑顔でそう言って
時間を気にするのに戻った姿を見ながら
また、思う事
(…俺がいない刻の流れを今から思うのは、嫌だな)
俺と出逢う前
ショウさんが何を思いながら
何を考えながら過ごしていたのか
それは、想像する事しか出来ない
それでも
少しでも、俺と一緒にいる『今』を感じて
それと同時に、俺がいなくなった『未来』をも感じて
「…ショウさん」
「ん？何だ？」
「…もう少し暖かくなったら」
「ん？」
「……弁当持って、どこか出かけようか？」
ハッキリ言えなくて
遠回しどころか濁す様な言い方になってしまった
「………そうだな」
「………え？」
少しの間はあったけど
ハッキリと聞こえた肯定の言葉に
手元を見ていた目線を彼に向けると
「なんだよ。自分で言ったくせに」
土鍋を見ていると思っていた視線は
真っ直ぐに俺へと向けられていて
苦笑気味にそう返してくる
「この時期っていったら花見…か？」
「…あ、そうだね」
「なら、散歩ついでに探してみるか。……桜、か？」
「…花見って言ったらそうなるかな？」
ショウさんの『散歩』は
薬草を探しに行ったり
よく行く街に無いような食材や本の探索とか
彷徨く、といっても
空間魔法があるから、時間短縮はかなりだ
「………どこか、知ってるの？」
「ん？ああ、咲いてるかもしれないって場所はな」
「そっか」
台所の窓から外を見ている瞳が
『何処か』を見ている様に感じたから……
「んじゃ、弁当の中身、今度一緒に考えよっか」
「おう」
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 670人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
櫻華(プロフ) - 蒼星さん» 蒼星さん、お久しぶりです^^*次にこの2人を書く時はこの形にしようと思っていたので、お気に召して頂けて嬉しいです。私自身もこの2人がどんな過程を経て『従兄弟』から関係が変わっていったのか、思いを巡らせていきたいです☆ (2019年4月30日 16時) (
レス) id: 5f6dbffbbd (このIDを非表示/違反報告)
蒼星(プロフ) - ご無沙汰してます。いつもお話は楽しく拝読しております。従兄弟の2人のお話また読めてすごく嬉しいです。小さい翔ちゃんの可愛さにやられます。和くんの若さも微笑ましいです。また是非成長の様子と2人の関係の変化を書いていただきたいです。楽しみに待っていますね (2019年4月30日 15時) (レス) id: c0123debb3 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» めぐぽんさん、ありがとうございます。好きと言ってもらえるのが何より嬉しいし励みになります^^* (2019年4月26日 10時) (レス) id: 5f6dbffbbd (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´･∀･)(プロフ) - いつもお話、楽しみにしてます。翔さんたニノナリさんの関係が本当に好きなので、続き楽しみにしてます！ (2019年4月26日 8時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
雅翔(プロフ) - 櫻華さん» ありがとうございます！応援しています！こちらの作品も他の作品も頑張って下さい！！ (2019年3月8日 23時) (レス) id: ccb4fc4429 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：櫻華
| 作成日時：2019年2月22日 5時
