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、
「やっぱり。感謝、かな」
「それ。本人達の前で言えばいいのに」
「やだ」
ソファに隣同士で座って、マグカップ持って
小さく言った言葉も必ず拾うんだから
こういう時、ズルいよなぁ…と思うわけで
二人っきりで珈琲飲む時、ブラックじゃなくなったのは
あの時の事だけじゃきっと無い
それをこの人に「…気になってる？」と聞かれた事がある
即答で否定した
そういうんじゃなくて
なんとなく、落ち着く…っていうか
俺の中では、もう自然な事
「あの時の事は誰にも言わない」
「それも、何回も言うよな」
「こうやって念押さないと、翔ちゃん言いそう」
「そんなに口、軽く無いんだけど」
知ってる
けど、メンバーに甘いのも知ってる
、
翔さんの家で、朝方まで話した
話したと言っても、単語にすれば両手で足りる程
文章にすれば、片手程
それでも
お互いの言いたい事。想いは伝えた
空が白み始めた頃
お互い仕事は午後からだったから
俺は一度自宅に帰った
仮眠をとって、個人での仕事、ちゃーんとやって
直接的な言葉は出して無い
それでも、お互いの気持ちは分かった
少なくとも、俺は…
だから
比較的早く終わった仕事の後、メールを送っておいた
数分後に返信があり
『まだ少しかかるけど、終わり次第行く』と
自宅に帰りながら、翔さんの家で感じた事を考える
無意識だったのか…
受け取ったのは、俺専用として置いてあったマグカップ
テレビ台の中には、俺が設置してた据え置き型ゲーム機
伏せられていたフォトフレームの中身は、
おそらくツーショット写真
「俺と同じかよ…」
当たり前に食器棚の中にある、翔さん専用のマグカップ
テレビ台の中にある、翔さんお気に入りのDVD数本
寝室に伏せてある、
ツーショット写真が入ったフォトフレーム
極めつけは…
昨日、当たり前に使った合鍵
「来ても、俺は開けない」
きっと持っている
その、確信に近い願いに賭けよう
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作者名：櫻華
| 作成日時：2018年10月12日 23時
