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「……初めは驚いたし戸惑った。けど、聞いていくうちにそれが本心なんだと痛感させられた。そりゃあ、勢いってのもあるんだろうけど。その中に、確かに本心があった。それを感じた時、例えこの先、それこそ今みたいな状態になっても、あいつらがぶつけてきた想いを、俺達なりに受け止めなくちゃいけないんじゃ無いか…って」
それが、正しいのか正しくないのか
少なくともあの時は、あの選択しか無いと決めたんだろう
頑固で、それでいて仲間想いで
それでも
あの時は、自分達の想いを
あいつらがぶつけてきた様に、ぶつけ返してもよかったと思う
例えそのせいで今とは違った亀裂が入ってしまったとしても
それはそれとしての対応があっただろう
過去の事に『もしも』なんて無いけど
それでも思ってしまうのは
今の状況、今の状態。それに慣れようとしても出来ない自分がいるから
それが、俺個人の我儘だと分かっていても
お互いの呼び方はともかくとして、口調も変える必要は無いんじゃないか？と、聞いた事が一度だけある
「…正直、これで抑えてるのかもしれません」と、悲しそうな表情と声音で言ったあいつ
口調は変わって無いけど、呼び方が変わった事について、聞いたのは一度
「…抑えてるんだと思う。色々」と、あいつと同じ表情と声音で言ったこの人
「…待ってるんじゃ、無いの？あいつら。それか、言い出したいけど…とか」
「…でもさ、厳しい様だけど。言った事には責任を持って欲しいんだ。だから…俺から話を向けるのは、違う気がして…」
「…うん」
「そこに甘えがあったのかは分からない。けど、それ全部ひっくるめて、あいつらの本心と捉えた」
「それは、俺も否定しないよ」
「これから先、何か動く事があるとして…正直俺自身は、何を言って、何をするのか…な…」
ビールを一口飲んで
「…言わせてしまった事に変わりは無いから。……傍から見たら悲劇の主人公やってるって、思われるかな？」
そう言った彼は、やっぱり悲しい顔をしていた
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作者名：櫻華
| 作成日時：2018年10月12日 23時
