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「ほい」
「あ、ありがと」
食後のコーヒーを受け取って
ソレを啜りながら、つけているテレビの音を聞く
ちょうどお笑い番組が流れていて
最近のお気に入りコンビのネタを観て
爆笑してるけどさ
ソレ、つい最近もテレビで流れてたネタですぜい
「そういえばさー」
「………ん？」
「今日、ニノと外回りだったんでしょ？」
「………へ？」
少し俯いてチビチビとコーヒーを啜っていたら
そんな言葉が出てきて
思わず顔を上げた
けど、相変わらず視線はテレビ画面
のんびりコーヒーを啜りながらだったから
聞き間違いかと思ったけど
「ん？違った？」
「え、…あ、いや…そうだったけど、」
職場が一緒でも部署は違う
けど、それを抜きにしても
余っ程の事が無い限り、
うちで仕事関係の話はしないのに……
そりゃ社内の共通知人友人の話はするけど……
「喫茶店行ったんでしょ？店員さんが翔くん似の」
「……それさ、前から言ってるけど。俺、あんなに爽やかイケメンじゃないよ？」
「ま、似てるけど。俺にとっては翔くんだけがイケメンで可愛いけどねー」
「……それさ、よく言うけど。俺、イケメンでも可愛くも無いから」
学生の時から、ほんわか笑顔で言ってきて
そう言えば、こうやってルームシェアする様になってから
言われる回数増えたなー
ちょうど俺が引っ越し先を探していた時
『ルームシェアしない？家賃光熱費とか折半でちょい安くなるしその分ちょい広いとこ住めるしー』
って言ってきて
この人もちょうど引っ越そうと思ってたから、って
いつもみたいに苦笑しながら返したら
テレビに向けていた視線を、俺に向けてきて
………それが、…滅多に見ない、真剣さで…
コーヒーを飲む為、と
自分に言い訳しながら少し俯くと
「翔くんさ、何で最近俺の名前呼んでくれないの？」
「……そう、？」
「うん」
咄嗟に誤魔化そうとしたけど
それはやっぱり通じなくて
少しの間、お互い無言が続いた後
小さくではあるけど、溜め息が聞こえた
「ねぇ」
「………な、なに…？」
「ルームシェア、やめよっか」
……………え、
言葉の意味を理解するより先に顔を上げると
真剣な表情をした、同居人
「………え、…な、で……？」
「だって、嫌なんでしょ？」
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作者名：櫻華
| 作成日時：2018年10月12日 8時
