＿＿3 ページ32
:
食後のコーヒーを
絶妙なタイミングで持ってきてくれた店員さん
同時に食い終わった盆をサッと持っていくのを見ると
なーんか不思議な感じがする
……飲食店従業員っていうより
どっちかというと、俺ら寄りのフットワークというか、
「聞いてます？」
「聞いてるよ」
これでも営業部エースと言われてるんだぞ？
10人の言葉を同時に…なんて到底無理だけど
アンテナはる事は常にしてるわ
「というか、何でいきなり大野さんの話が出るんだよ」
「数日前に喫煙所で聞かれたんですよ」
「…は？」
「『翔くん、なんかいつもと違うとこ無いか？』って」
…これまたド直球に
「……で？」
「正直に答えましたよ。『いつもと変わらずバリバリ仕事してますけど』って」
「……そういうの、上手いよな」
「そりゃ営業マンですからね」
『変わらずバリバリ仕事』って言い方な
それは暗に『プライベートの事はどうでしょうかね？』
って意味だろ、お前にとっては
「何？俺、そんな仕事しまくってる？そういや有休たまってるんだよなー」
「話逸らそうとしてるの見え見えですから」
「……学生の時からの付き合いってこういう時イヤだわ」
「翔さんが分かりやすいんですよ」
……………まぁ、…自分の中だけでグルグル考えるより
いっそ誰かに聞いてもらった方がいいのかもな
特にコイツは口が堅いし
「……………独り言だと思って聞いて」
少しぐらい戻るのが遅くなっても大丈夫
ポツポツと話し始めた俺に
最小限の相槌をうちながら、後輩の二宮……ニノは
コーヒーを啜りながら耳を傾けてきた
:
:
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：櫻華
| 作成日時：2018年10月12日 8時
